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結局、誘惑に負けた私達(私は断じて関係ない)は桂さんと奉行所へとやってきた。何でも奉行所にエリザベスが捕まってしまっているらしい。
『まァ、いつも桂さんの隣にいたら目をつけられるのは当たり前だもんね』
「やっぱり、ロクな事じゃなかったね」
「新八が食べ物に釣られるからネ」
『ホント。あんなにがっついて…情けないよ』
「先に食べ出したのオメーらだろォォ!」
私と神楽ちゃんと新八くんは銀ちゃん達が奉行所の中を木に上って確認する間ベンチに座って待っていた。
「よーし、帰るぞてめーら」
『え?もういいの?』
「知らねーよ、ほっとけほっとけ」
暫くすると何故か怒り気味の銀ちゃんが家へと帰る方向に足を進め始めた。何があったんだと思いながらも私達は銀ちゃんの後に続いた。
「待たれーい!!」
すると案の定、桂さんは歩みを進める私達を止めた。
「あの奉行所に巣食うは遠山珍太郎なる極悪奉行!私欲で金さえ積まれれば事件の一つや二つもみ消す。弱きをくじき強きに媚びへつらう奸物…。そんな輩放っておく事がお前に出来るか?銀と…」
『…帰っちゃいました』
「……」
長々と喋り終えた桂さんが銀ちゃんがいるであろう場所に顔を向けると、そこには同情した気持ちでその場に残りそんな桂さんを哀れんだ目で見る私だけが佇んでいた。
『あの、もし銀ちゃんに何か気に障る事言ったんであれば謝りにいきましょう。ホラ、私も一緒に行きますんで…』
「…すまない」