6 神楽 side
バキッ。
するとさっちゃんはかけていた眼鏡を割った。(…アレ。そういえばさっちゃんて眼鏡ないと…)
「これなら文句ないでしょ。これで気がすんだ?そうやって私をなぶって楽しんでるんだろうけど私Mだから。私も楽しんでるから。私はMであなたはSで他にはもう何もいらないじゃない」
「悪ィな。どっちかっつーと俺もMだ」
さっちゃん、それM(マダオ)ネ。
私の記憶は間違っていなかった。眼鏡をかけていないさっちゃんはマダオに向かって話かけていた。すると、突然キャサリンがさっちゃんの髪を掴み出した。
「コルァァァ小娘ェェ!!さっきから黙って聞いてりゃイキナリ出てきてヒロインヅラかァ!?」
「いだだだだ!」
「ここはそんな甘い世界じゃねーんだよ!」
キャサリン、お前…。
憎まれ口を叩きながらも思うところは思っていたのか。そんな事を思っていた。
「てめー何話から出てるか知らねーけどな!アタイはてめーが登場する遥か前、四話からもう出てんだよォ!この漫画のヒロインはあたいなんだよォ!!」
絶対違う。
どうやら思い違いだったらしい。キャサリンの手から逃れたさっちゃんも攻撃し返し始める。それを見ていた姉御が立ち上がった。
「いい加減にしなさい二人とも!こんな所神楽ちゃんがもし見てたらどんな気持ちになると思ってるの!ちなみに私は一話から出てるアルけどね」
アル?
アレ?姉御?
姉御もヒロイン狙ってる?
「なーに私は別格みてーな顔してんだニャンボワザァ!キャラ的に言えばお前が一番薄いくせによォニャンボワザァ!」
ニャンボワザァって何?口癖?ニャンでいいヨ。今さらキャラづけすんなヨ。
「濃ければいいってもんじゃないわよ。アナタ顔が濃すぎるニンニン」
「なにィィ!」
「それからアナタ、一話から出てるって調子に乗るなよメガネビーム」
口癖一つに統一しろ。
「でも一話から出てるもんアル。ちなみに登場回数も一番多いけどねアル」
アルの使い方間違ってるヨ、姉御…。
ていうか、一番登場回数多いのなまえな気がする…。そんななまえは呑気に蚊帳の外で三人の言い合いを見ていた。
言い合いはより一層激しくなってくる。(誰か止めろヨ)
私がそう思っていると銀ちゃん達男が口を挟んだ。
「おい、ちょっと落ち着け」
「このままじゃいつまで経っても決まらねェ」
ていうか何を決めてるアルか。
「俺達男の意見を取り入れろ」
「俺達野郎からしてみればヒロインってのは満たさなきゃならねー三大条件ってのがある。それは…」
「顔」
「体」
「性格」
…何もねーヨ。
私はマダオの話を聞きながら自分の体を見つめた。
「そういう事だからとりあえずお前は故国に帰れ」
「しばくぞ」
「オイ、キャサリン抜けたしなまえ入れよ」
『(絶対ロクな終わりが見えないし)私興味なーい』
「…(なまえちゃんて、散々私がヒロインでいれるなら銀魂が終わっても別にいいとか言ってなかったっけ…)」
なまえが何を考えているかはわからないが、賢明な判断アル。