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『……』
星海坊主さんは、家に居なかったらしいが、星海坊主さんは星海坊主さんなりに家族を愛していた。私はそう思った。
「クク…」
その時、銀ちゃんが笑った。
「これだからよォ、世の中の親父は娘に煙たがられちまうのかねェ」
『銀ちゃん?』
「お父さんよォ、てめーのガキ一人信じる事が出来ねーのかィ。あいつがこんなモンで死ぬタマだと思ってんのかィ」
『…アンタまさか』
「…五分だ。五分だけ時間を稼いでくれ」
『銀ちゃん!』
銀ちゃんは私の言葉に耳を持たず言葉を続けた。
「俺を信じろとは言わねぇ。…だが、あいつの事は信じてやってくれよ」
ザムンッ!!
銀ちゃんは勢いよく木刀をえいりあんへと突き刺した。私は銀ちゃんのやる事が予想でき、止めようとしたが既にえいりあんに呑まれそうになっていた。
『銀ちゃん!』
「なまえ…心配すんじゃねーよ。あいつと一緒に、戻ってきてやる」
「!お前っ何を…!!」
銀ちゃんはそう言ってえいりあんへと呑み込まれた。私は一瞬不安に見舞われたが、鼻で笑った。
『…ほんと、いっつもカッコつけて…』
「オイ!あいつ死んじまうぞ…!」
『…かも知れないですね。…いつも、無茶な事してさァ…まァ私もついていっちゃうんだけど…』
「お前はそれで『でも、いつも銀ちゃんは戻ってきてくれるんです』!……」
私の言葉に星海坊主さんは黙り込んだ。
ドシャァ!!
その時、頭上から何かが降ってきた。