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「なまえ、ちょっと来とくれ」
自分の部屋でゴロゴロしているとお登勢さんに呼ばれた。部屋から出ると、そこには頭に猫耳のようなものをつけた女の人が立っていた。
「ハジメマシテ。キャサリン言イマス」
『あ…はじめまして。なまえです』
自己紹介をした女の人、否、キャサリンがペコ、と頭を下げると私もつられたように頭を下げた。
「新しく雇ったキャサリンだよ。出稼ぎで地球に来たらしくてね、実家に仕送りするために頑張るってんでウチに来たんだ。仲良くしとくれよ」
『へェー実家に…頑張って下さい』
何て親孝行な人だ、と感心して私は再び頭を下げた。
「なまえサンハドウシテココデ働イテルンデスカ?」
『んーえーと、』
孤児院から貰われた、なんて言い方するのは自分が何だか嫌で何て言おうか迷っているとお登勢さんが口を開いた。
「なまえはあたしの娘だよ。娘が親の店手伝ってくれてんだ。この子の親孝行っぷりにも感謝もんだよ」
『!……』
お登勢さんの言葉に涙腺が緩みそうになったが、ぐ、と我慢してそそくさへと部屋に上がっていった。(…娘だって、えへへ)