Rocky and Funny!! | ナノ


11 新八 side



「おい…おい…」



真っ暗な視界の中、誰かの声が聞こえる。



「しっかりしろ、坊主、オイ」



ゆっくりと目を開けた僕の目の前には。



「…アレ、ここは冥土ですか?花畑じゃなくて焼け野原が見える」
「誰の頭が焼け野原?花畑行くか?花畑で永遠に楽しく暮らすか?」

視界がはっきりとしていく中、それが星海坊主さんだと認識する。(ああ、そうか)
僕は神楽ちゃんを連れ戻そうと船に乗り込もうとしたところ、得体の知れない化け物に襲われたんだ。(よく見れば、あの化物銀行にいた…?)星海坊主さんは立ち上がるとターミナルから突き出ている船を見てゆっくりと口を開いた。

「まさか野郎がまだ生きてやがったとは。しかもどこでご馳走になってきたのか、あんなデカくなりやがって。俺とした事がツメが甘かったな」

星海坊主さんの言葉に僕も船へと顔を向ける。

「じきここも呑まれるぞ。さっさと行け」
「坊主さんは?」
「坊主さんって何。ねェ、大の大人に坊主さん?…神楽ちゃんが見当たらねェ。アイツの事だ。他の連中を気遣って船に残ってるかもしれねェ」



「待って」



そんな星海坊主さんを止めるように口を開く。

「僕も行きます。神楽ちゃんは…ほっとけない」




「邪魔だ、帰れ」

だが、案の定星海坊主さんはそれを否定した。

「こっからここは戦場だ。てめーらみてーなひ弱な生き物にいられたら迷惑なんだよ。…ここは、俺達の居場所だ」



…なんて眼だ。

こんな、得体の知れない化け物に恐れずに向かう姿、これが"夜兎"なのだろうか。

「…でも、僕は」



ビュオッ!



僕の言葉を紡ぐように星海坊主さんが勢いよく傘をこちらへと振り回した。…なんて威圧なんだ。と、思えば傘は頭上を通っていった。化け物が僕のすぐ後ろへと来ていたのだ。

「俺達の生きる場所は違うと言ったんだ」

確かに、そうかもしれない。

「これ以上神楽に関わるな」

確かに、これ以上神楽ちゃんに関わってはいけないのかもしれない。

「これ以上神楽を苦しめるな」

確かに、このまま関わり続ければ神楽ちゃんを苦しめるだけかもしれない。

「人が簡単に変われると思っているのか?」




「…でも、僕は…」




星海坊主さんがこの場を去った後、先程と同様の言葉を僕は悔しさを込めたように繰り返した。






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