Rocky and Funny!! | ナノ


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「えいりあん?知らねーな。お菓子みたいな名前しやがって。栄利庵か?あん?いっとくけどよォー地球はてめーらなんかに渡さねーから。地球はわしらや『アンタ早くこんな奴やっつけてヨーグルト買ってきとくれよ(棒読み)』ちょっ今良いとこだから。あーえっと…地球はわしらやくざのもんじゃーい!」
「ワン」
『アンタ挑発されてるよ(棒読み)』
「なんだとう。お前、そんな事を…あの…アレ…ひどいぞー。お前、アレだぞ。そんな事したら…あの…ダメだぞォォ!!」

【かくして、えいりあんとやくざ。地球の存亡を懸けた戦いが今始まるわけでございます。はたして地球の運命は?続きは是非劇場の方で…ってくるかァァ!】



『…はあ』



あれから、暫くすると長谷川さんが呑気に万事屋銀ちゃんへとやってきて、映画の宣伝をしてほしいと頼んできた。銀ちゃんは乗り気でなかったが、仕事だと渋々それを受ける事にした。何故か私と定春を連れて。だが、銀ちゃんのやる気のなさと私の棒読みの台詞、定春がワンしか喋らないと言ったとても映画の宣伝には成り立たないものに長谷川さんは持っていたマイクを地面に叩きつけた。

「誰が来るかァァ!こんな呼び込みで!何このグダグダ感!だから打ち合わせちゃんと聞けって言ったんだよ!ダメだぞォーってなんだ?ダメなのはお前達さ!!なまえちゃんも棒読みだから!もっと気持ちを込めて!やくざの妻らしく!成りきって!」
『やくざの妻に会った事ないからどんなのかわかりませーん(棒読み)』
「何小学生みたいな事言ってんの!っていつまで一時停止してんだ!もういいんだよ!どーでもいいトコだけ真面目だな!!」



「ちょいと、長谷川さーん」

すると映画館の中から掃除のおばさんが顔を出し長谷川さんを呼んだ。何やら結果を出さないと即クビなんだとか。そんな心配をしているとおばさんが皆が集まっているテレビへと向かう。

「呼び込みなんてやっても今日は無駄だよ。ちょっとこっち来な。わざわざつくりもんのえいりあんなんか見に来なくてもさァ…」

私達もその後ろに続き、テレビへと視線を向けた。






「本物のえいりあんが大騒ぎ起こしてんだからね」






「オイオイ、なんだこりゃ」
『コレってターミナルじゃない?』

テレビに映っていたのはよく私達が目にしているターミナルだった。ターミナルからの一部からは煙が出ている。

「なんか船にでっかいえいりあんがとりついて事故起こしたらしいよ」
『乗ってる人いるのかな?』
「いや〜恐いわァ〜」

私達は暫くテレビから目が離せないでいた。画面にはより一層ターミナルの一部が大きく映し出される。それを見つめる中アナウンサーの言葉が自然と耳に入ってくる。

【それにしてもあの禍々しい生物は一体何なのでしょう?ん…アレ。ちょっ…人影?】




まさか。




そこに映り込んでいた人影の正体に私と銀ちゃんは目を見開かせた。

【なっ…なんて事でしょう!少女が!一人の少女が船の甲板で謎の生物を相手に、アレは闘っているんですか!?信じられません、人間なんでしょうか!?】

「オ…オイ、銀さん、アレ……!」



人影が映し出された瞬間、私と銀ちゃんはその後のアナウンサーの言葉を聞く事もなく、その後の長谷川さんの言葉も知らぬまま私達は姿を消していた。





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