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「撃ってみろコラァ!」
「このリストラ侍が!」
「ハゲ!」
『え?あの人ハゲてんの?』
「ノリだよノリ」
『あっなるほど。ハゲ!リストラハゲ!』
「俺がいつハゲたァァ!!」
『ちょっと、ノリ通じないんですけど』
私達は銀ちゃんの前に立ちはだかるとテロリストだという男に向かって罵声を浴びせた。怒った男は大砲を撃つ準備に差し掛かる。
「上等だァ!江戸消す前にてめーら消してやるよ!」
「私達消す前にお前消してやるネ!」
『ヤロー共いけェェ!!』
私の言葉と同時に新八くんと神楽ちゃんと真選組の皆はテロリスト達へと向かっていった。
「なまえ、木刀持ってきたろうな?」
『それなら新八くんが持って…え?』
その瞬間、久しぶりに聞く口調に私は耳を疑った。戸惑っていると声の主は一気に私達の前を走り抜けた。
まさか…。
「工場長ォ。すんませーん、今日で仕事辞めさせてもらいまーす」
「ぎっ…」
「銀さん!!」
『…銀ちゃん……!』
どうやら、銀ちゃんは記憶を取り戻したようだ。銀ちゃんは木刀を新八くんから受け取ると勢いよく大砲へと向かっていった。
「俺ァやっぱり自由の方が向いてるらしい」
「死ねェェ!坂田ァァァ!!」
「お世話になりました」
いつもの死んだ魚のような目、ニタッと不気味な笑みを浮かべて木刀を大砲筒へと突っ込んだ。
「えっ」
「ぎゃあああああ!」
大砲には亀裂が入り大きく爆発した。私達がそれを眺めていると銀ちゃんがゆっくりと歩いて帰ってきた。その姿が何とも安心出来るようなそんな感情が私の中に現れた。