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12の頃、私は孤児院からお登勢さんに貰われた。そんな私が18へと成長し、お店の手伝いもするようになった頃だった。
『2階に新しい人?』
「あァ」
どうやらスナックお登勢の2階に新しい住人がやってくるらしい。しかも何か店をやるのだとか。
『へーっどんな店するんだろ?』
「さーね。どうせろくなもんじゃないよ」
『え?お登勢さんその人と知り合い?』
「ちょいとね」
『ふーん』
「なまえ、買い物行ってくるから留守番頼んだよ」
『はーい』
お登勢さんが買い物に出掛けている間、店の開店準備を着々と進めていた。おしぼりを一つ一つ畳み、テーブルを吹いていた。
「おいバーさん、エアコンねーのか?」
すると、まだ開店もしていないのにガラララと店の戸が開いた。顔を上げると、独特な服の着方をし、やる気のなさそうな(つーか死んでる?)目をした白髪の男が立っていた。(え、エアコン…?あ、もしかして)