Rocky and Funny!! | ナノ






また、振り出しに戻ってしまった。いや、振り出しより大変な事になった。目が変になってしまったし、近藤さんまでもが記憶喪失になってしまった。私達はとりあえず今日は諦めて家へと帰る事にした。



「…すみません。色々手を尽くしてくれたのに、結局僕は何にも…」

帰り道、銀ちゃんがそう呟いた。私達は気を遣わせないようにニカッと笑ってみせた。

「やめて下さいよ〜。銀さんらしくない。銀さんは90%自分が悪くても残りの10%に全身全霊をかけて謝らない人ですよ」
「そうネ。ゆっくり思い出せばいいネ」
『私達はずっと待ってるよ』
「今日は家に帰ってゆっくり休みましょ」
「そーネ。外よりウチの方が一杯思い出アルネ…何か思い出すかも…」
『…ん?』

家はもう寸前だといった所で何だか騒がしい事に気付く。
野次馬の視線を辿ってみると、そこは、私達の家だった。家の二階、万事屋銀ちゃんにロケットみたいなモノが突き刺さっている。

「飲酒運転だとよ」
「ありゃあもう、建て直さないとダメじゃないの?気の毒にね〜」





開いた口が塞がらないとはこの事か。スナックお登勢はどうやら無事そうだから、あまり心配はないとして、銀ちゃんの思い出が沢山詰まった家が、こんな状態じゃ。その時、少し先で役人と笑いながら話す何だか見覚えのある男が視界に入った。(!坂本さん…?)それは、宇宙に行った時に出会った坂本さんだった。どうやら、犯人は坂本さんだとか。坂本さんは役人と話が噛み合わないまま連行されていってしまった。残された私達はもう一度万事屋銀ちゃんを見上げた。

「…どうしよ。家までなくなっちゃった」





「…もういいですよ」
「「『!!』」」

銀ちゃんの言葉に私達は耳を疑った。

「皆帰る所があるんでしょう?僕の事は気にせずに、どうぞもう、自由になって下さい」
「銀さん…?」
「聞けば、君達は給料もロクに払わずに働かされていたんでしょう。家賃も払っていなかったみたいだし。こんな事になった今此処に残る理由もないでしょう。記憶も住まいも失って僕がこの世に生きた証はなくなってしまった。…でもこれもいい機会かも知れない」
『銀ちゃん何言って…』
「皆の話じゃ僕もムチャクチャな男だったらしいし、生まれ変わったつもりで生き直してみようかなって」
『…それって』

私は、銀ちゃんがこれから放つ言葉に予想がついた。銀ちゃんは見事に私を裏切る事なく、その言葉を口にした。







「万事屋は此処で解散しましょう」







私達はその言葉を受け入れたくなかった。
そんな中、銀ちゃんはスタスタと足を進めて行く。

「ウ…ウソでしょ。銀さん」
「やーヨ!私給料なんていらない!酢昆布で我慢するから!ねェ、銀ちゃん!」

新八くんと神楽ちゃんは必死で銀ちゃんを止める。そんな二人に銀ちゃんは一度立ち止まり、ゆっくりと口を開いた。


「すまない。君達の知っている銀さんは、もう僕の中にいないよ」


そしてまた、銀ちゃんは足を進めた。私は、立ち止まったまま黙り込んでしまっていた。

「銀さんちょっと待って!!」
「無理ヨ!オメー社会適応力ゼロだから!バカだから!銀ちゃん!」
「銀さァァん!!」






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