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「よォ、久しぶりだな。暫く会わん内に随分イメージが変わったじゃないか」
『まァ記憶喪失だからね』
「いや、コイツはそれを利用してイメチェンを図りお妙さんを口説こうって魂胆だろう。そうはいかん」
近藤さんは突如変な方向へと話を進め始めた。その間、銀ちゃんがじっとアイスを見つめている事に首を傾げた。
『?銀ちゃんどーしたの?』
「これは…。何だろう、不思議だ…。身体が勝手に引き寄せられる」
『!そうだ!甘い物!』
「そうだよ!銀さんには甘い物だ!」
「甘い物食べさせたら記憶が甦るかもしれないヨ!うらァァ!食えコノヤロー!」
「ぐぼェ!!」
『神楽ちゃァん!振り出しに戻っちゃうから慎重にィィ!!』
「あ、姉上!もっと他にも甘いものを!!」
「わ、わかったわ!」
ハーゲンダッツだけでは足りない。そう思った新八くんはお妙さんに甘い物を持ってくるように頼んだ。
「銀ちゃん!戻ってきてヨ!」
『銀ちゃん!?』
銀ちゃんはフラフラと起き上がりながら何かを呟き始めた。
「う、う…ぼ…僕は…僕は……俺は」
まさか。
『!銀ちゃん!思い出して!!』
「銀ちゃん!」
「銀さっ…」
ガボッ!
今、確実に自分の事、俺って言った。まさか記憶が甦ったんじゃないか、なんて期待を抱いたその瞬間、お妙さんが勢いよく何かを口に押し入れた。
「…姉上、なんですか?それ」
「卵焼きよ。今日は甘めに作ってみたから」
「「『……』」」
お妙さんの言葉に私達は黙り込んだ。そんな時、隣でお妙さんの作った卵焼き、否殺人兵器を口にしていた近藤さんも倒れ込んだ。(オイオイ…まさか)
「君達は…誰だ?」
振り出しに戻る。(2回目)