Rocky and Funny!! | ナノ






記憶喪失。

銀ちゃんの病名は、記憶喪失。ケガは大した事ないが頭を強打した際に記憶をポローン、と落としてきたらしい。

「落としたって…そんな自転車のカギみたいな言い方やめて下さい」
『しかもポローンて。中々そんな音出して落とせないよ。ポローンて』
「事故前後の記憶がちょこっと消えるってのはよくあるんだがねェ。彼の場合、自分の存在も忘れてるみたいだね…。ちょっと厄介だな」
『…そんな』
「てめェ、嘘ついてんじャねェぞ。記憶喪失のフリして家賃誤魔化すつもりだろ」
「先生、さっきから病室に老婆の妖怪が見えるんですがこれも頭を打った影響なんですか?」
「坂田さん心配いらないよ。妖怪じゃない。ここは病院だぞ、幽霊くらい出る」
「『先生、違います』」

先生の話によると、人間の記憶は木の枝のように複雑に絡み合っているらしく、その内の一本でもざわめかせれば他の枝も徐々に動き始めるのだとか。となると、銀ちゃんの中の枝を動かす何かを探して枝を揺らせられれば思い出す事が出来るかも知れない。




そうして私達は銀ちゃんを病院から連れ出し、万事屋へとやってきた。

「万事屋銀ちゃん…此処が僕の住まいなんですか?」
「そーです。銀さんは此処でなんでも屋を営んでいたんですよ」
「…ダメだ、何も思い出せない」
「まぁ、なんでも屋っつーか殆ど何にもやってないや。プー太郎だったアル」
「プぅぅ!?この年でプぅぅ!?」
『(普通に驚いた…今までだったらどや顔でプー太郎である事を自慢するはずなのに…やっぱり銀ちゃんじゃない…!)』
「おまけに年中死んだ魚のような目をしてぐーたら生きる屍のような男だったアル」
『セクハラするしね』
「家賃も払わないしね」
「アトオ登勢サンノオ金強奪シテマシタヨネ」
「『それはお前だろーが!!』」


「どーです?」
『何か思い出した?』
「思い出せないっつーか出来れば思い出したくないんですけど…」
「しっかりしろォォ!もっとダメになれ!良心なんか捨てちまえ!それが銀時だ!」
『そーだよ!今銀ちゃんが思い出したくない事を銀ちゃんは胸張ってやってたんだよ!』
「アンタら言い過ぎじゃね?」

やはり、簡単には思い出せないものか。私達がどうしよう、と考えているとお登勢さんが江戸の街を回ってこい、と案を出してくれた。そうして私達は銀ちゃんを連れ江戸の街を回る事にした。



「お兄さーん、ちょっとよってってー」



『…ん?この声…』






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