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「なっなんだァ!」
「上に誰かいるぞォォ!」
「なっなにィ!どこだ!?」
突然、ざわざわと騒ぎ始めた信者達の声に斗夢は屋根の上を見ようと柵へと近付いていく。その隙に神楽ちゃんが屋根の上からひょっこりと顔を出し、梁の上に向かって傘の先端から弾をぶっ放した。
「銀ちゃァん!なまえー!そこねェ!」
パンッ!
梁の上から突き出た弾の位置を把握すると私達は一気にその場所へと向かい、木刀を腰から抜き取った。
「『ドリームキャッチャー見破ったりィ!』」
そして一気に屋根を突き刺した。木刀の先には手応えを感じた。と思うと梁の上から忍者の格好をした男がお妙さん達の前に降ってきた。
「あ、忍者だ」
斗夢は忍者が落ちてきた事に慌てて駆け寄り忍者に声をかけた。
「ちょっ服部さん!アンタ困るよ!しっかり隠れててもらわないと!高い金払ってるのにさァ!」
「も…もう無理…ケ…ケツに…おもっくそなんか刺さった…しかも二つ…」
「おイイイ!!」
忍者と斗夢が話した結果、忍者は辞めると言い、そのままどこかへと走り去っていく。それを見た信者達は忍者だ忍者だ、と目で追った。
「何で斗夢様が忍者を!?」
『まだ気付かないの?』
「これがドリームキャッチャーの正体ですよ」
「!」
斗夢が私達の声に気付き、振り返る間に未だ状況を理解していない信者に、私達は斗夢の落としたマイクを拾い上げ信者に向かって言葉を発した。
「思い出して!この人の叶えてくれた夢って何か具体的な…物が欲しいとかそんなんばっかじゃん!」
『この人は予めあなた達の夢をチェックして叶えられそうな夢だけ選んで、さっきの忍者を梁の上に忍ばせて目にも止まらぬ速さで奇跡を演出してただけなんです。あなた達は騙されていたんです』
私と新八くんの言葉に信者達は否定したが信者の一人のフッサフサな髪の毛がカツラだとわかり、あっさり寝返った。(え、そんな単純でいいのか)
「てめェェ!斗夢!よくも騙しやがったな!」
「金返せェェ!」
「あわわ…」
状況は一変し、斗夢は追い詰められていた。斗夢はヤバイと後ずさるとドン、と何かにぶつかった。
「教祖様、何しとんねん」
「こんな時ドリームキャッチャーでしょ?」
それはお妙さんと花子さんだった。斗夢は振り返る事なく顔から血の気を引かせた。
「「助けてくれってホクロに願えや」」