6
「オイ、離せ」
結局銀ちゃんは長谷川さんに協力する事となり(コンビニの件があるからね。協力するしかないからね)私達は医者に扮し、桂さんを入院させようと(勝手に)診察室を借り桂さんを診察する事にした。だが、桂さんは診察を受けようとはしない。
「結構だと言っているだろう。俺は自らの身体を省みている暇などない。国の病を治すのが俺の役目だ」
『さーすが男ま「なーに言ってんのお兄さん」…』
私が思わず口を滑らせると、銀ちゃんが大きな声で遮った。(うわーコッチ睨んでるよ)それから先程撮ったという桂さんの脳のレントゲンを見せた。
「オイ、そんなもの撮った覚えはないぞ」
『あーさっき撮ったんですよ、パシャリと。ね、先生』
「パシャリって何だ。そんなスナック感覚で撮れるものなのか、長谷川君」
「俺に聞かないで下さい先生」
「ここ見てくれ、ここ」
気を取り直して銀ちゃんがレントゲンに映っていた怪しい黒点を指差し、説明を始めた。だが何故だか黒点が伸びた気がする。いや伸びた。
「オイ、黒点が伸びたぞ。どうゆう事だ?」
桂さんも当然それに気付き、怪訝そうな顔をしていた。銀ちゃんは一度黙り込むと失礼、と言ってレントゲンを用意した神楽ちゃんの元へ向かった。
「てめっ油性で描けって言ったろーが」
「先生やめて下さい。患者達の間で噂になってますよ、私達デキてるって」
『神楽ちゃんどこで覚えてくるのそんな言葉』
「帰る」
「!あーちょっと待ってちょっと待って!!」
まるでフザけている私達に桂さんは痺れを切らし、診察室から出ていこうと立ち上がった。だが、新八くんがそれを必死に止める。
「あの…このマジックはアナタの脳の異変を分かりやすく図示しただけです!アナタ今頭ん中とんでもない事になってますよ!」
『(とんでもない事って何だ)』
「このまま放っておけば近日中に間違いなく頭があの…アレ…パーンってなりますよ。速やかに入院しないとアナタ、パーンですよ」
『(…パーンって何だ)』
「…なんだと?」
明らかに怪しい。もうダメだ、と小さくため息をついた。よっぽどのバカでない限り、騙されるはずがない。見れば桂さんも怒っている。
「なんとか治してくれ!!」
ほら、もうダメ…え?
『…え?』
「治せるのなら治してくれ!」
そうだ、この人バカだった。