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「どーもおかしい」
あれから長谷川さんは喫煙に、銀ちゃんはジュースを買いに、私はそろそろ帰ろうと三人で病室を出て、喫煙所へと向かった。私も一杯だけジュースを飲んでから、と椅子に座り一息ついた瞬間、長谷川さんがそんな言葉を発した。
「あ?」
『何がおかしいんですか?』
「内野さんの事だ。元からちょっとドジな所はあったんだが最近は何かボーッとしててな。人のバナナを食べたりとかそうゆう事する娘じゃないんだホントは」
「『……』」
話を聞いた私と銀ちゃんは顔を見合わせた後、長谷川さんを怪訝そうな顔で見つめた。
「なんだァ、まだバナナの事引き摺ってんのか。チンパンジーの生まれ変わりかお前は、コノヤロー」
『スイマセンって。明日買って返しますから(しつけーな)』
「バナナの事じゃねーよ!なまえちゃんに関してはどっかから心の声聞こえてきてるから!調子悪いとか心配なの!」
『ハイハイ…ん?』
そんな必死にならなくてもバナナ引き摺ってると言えばいいのに、なんて気持ちで返事をして少し遠くを見ると見覚えのある顔が見えた。
『噂をすれば』
「え?」
私の言葉に長谷川さんと銀ちゃんも私が視線を向ける方へと顔を向けた。そこには廊下から病室を覗く内野さんがいた。
内野さんの様子から、私と銀ちゃんはどうやら恋をしているんじゃないかと読んだ。相手は誰なのかと、少し遠くから病室を覗いてると奥のベッドに見覚えのある人物(人物なのか?)がいた。
「うおっ!なっなんだありゃ!?何か変なのいる!」
「あれ?ありゃ、確か」
『確かエリザベスって名前じゃ…って、え、まさか』
私と銀ちゃんは固まった。エリザベスのいるベッドをよーく見る。すると、そのすぐ側に内野さんの片想いの相手だと思われる人物がいた。(ま、まさか…)
「ヅラぁぁ!!」
「げっ」
銀ちゃんが叫んだ瞬間、声に気付いた内野さんがこちらへと振り向いた。