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二日前。
店の手伝いをしているとお店の常連客のおじさんが大きな荷物を抱えてやってきた。どうしたんだ、と聞けば何でもおじさんは魚屋だそうで、余ったカニをお裾分けしに来てくれたんだとか。私は喜んで受けとるとウキウキで冷凍庫で保存する事にした。
『お登勢さーん!』
「なんだィ、なまえ」
『よく来てくれる鮎田さんがお裾分けにって!』
「おや、カニじゃないかィ」
『うん!』
「こりゃ当分はカニづくしだね」
『やったー』
「大キナカニデスネ」
『ねー。いだだだ!何ィ!?キャサリン何すんだよテメー!?』
いきなりカニを持ち上げたキャサリンがカニで私の腕を攻撃してきた。
「カニッテ強イノカ試シタカッタンデス」
『意味わかんねーんだよォ!!』
翌日。
あまりにも沢山のカニに、私達は銀ちゃん達にもあげよう、と冷凍庫から取り出したが何だか生暖かい。
『…お登勢さん、コレって』
「冷凍庫が壊れたみたいだね」
『じゃ、コレ…』
「全部ダメだ」
絶望を味わった。