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『片岡さん、お久しぶりです』
片岡さん墓の前に立つと優しく微笑んだ。毎年恒例の墓参り。気が付けばそれはもう4年となっていた。
『…18歳になりました。4年て、あっという間なんですね。去年はお登勢さんのお店の手伝いをしている話をしたけど、あれからすぐ団子屋のバイトも始めたんです。そこでいっぱい稼いで…お登勢さんに育ててくれているご恩を返しています。こんなんじゃ返しきれないくらいなんですけどね』
ははっと笑う。
『…片岡さんにも、ご恩を、返したかったです』
だが、次の瞬間それは涙と変わった。
『…片岡さんに救ってもらった命…、片岡さんの分まで、生きます。…見守っていて下さいね』
そっと、花束と片岡さんの好きだったお饅頭を供えると手を合わせた。目をつむれば片岡さんと過ごした日々が蘇る。そして、沢山の感謝の思いを込めて。