Rocky and Funny!! | ナノ






沖田さんは今日は非番らしく大好きだという格闘技を見に来たとのこと。とくに女子格闘技が好きなんだとか。(どんだけサディスティックなんだこの人)

「それより旦那方、暇なら付き合いませんか?もっと面白ェ見せ物が見れるトコがあるんですがねィ」
「面白い見せ物?」
「まァ付いてくらァわかりまさァ」
『?』

私達は好奇心に負け、沖田さんについていく事にした。先程いた辺りとは一変し、地下へと続く階段を下り、悪そうな連中が座り込んでいる道を歩く。

「どこだよココ?悪の組織のアジトじゃねェのか?」
「アジトじゃねェ。裏世界の住人達の社交場でさァ」
『社交場?』
「ええ。ここでは表の連中は決して目にする事が出来ねェ。面白ェ見せ物が行われてんでさァ」




そうして、歩みを進めていると急に沖田さんが立ち止まった。

「ここがそうです」
「こいつァ…」
『地下闘技場?』
辿り着いた場所は先程の闘技場よりも遥かに大きく、観客席も埋め尽くされた地下闘技場。大きな歓声が響き渡りリングに現れたのは普通の格好をした男と鬼の面をつけた人物。

「煉獄関…」
『…煉獄関?』
「ここで行われているのは」

沖田さんの言葉の合間にも試合が始まり、リングの二人はお互いに襲いかかった。すると、武器を振りかざした数秒後に男の体からは血飛沫が上がりた倒れ込んだ。

「正真正銘の殺し合い」

私のテンションは一気に崩れ落ちる。(…成る程)まず、どうして沖田さんが私達をここへ連れてきたのか。大方の見当がつくと大きな溜め息をついた。

「こんな時代だ。侍は稼ぎ口を探すのも容易じゃねェ。命知らずの浪人どもが金欲しさに斬り合いを演じるわけでさァ」
『まあ確かに、真剣での斬り合いなんて早々拝める訳ないし賭けまで絡めちゃ飛び付く輩が沢山いるってわけだね』
「趣味のいい見せ物だなオイ」

下らない賭け事に流石の銀ちゃんまでもが機嫌を悪くしていた。

「胸くそ悪いモン見せやがって、寝れなくなったらどーするつもりだコノヤロー!」
『神楽ちゃん落ち着いて』
「明らかに違法じゃないですか。沖田さん、アンタそれでも役人ですか?」
「役人だからこそ手が出せねェ」
「え?」

神楽ちゃんに胸ぐらを掴まれながらも淡々と答えた沖田さんに新八くんが言葉を返した。

『…やっぱり幕府が絡んでるんですね』
「流石はなまえさんでさァ。ヘタに動けば真選組も潰されかねないんでね。これだから組織ってのは面倒でいけねェ。自由な旦那方が羨ましいや」
「……言っとくがな、俺ァてめーらなんざのために働くなんざ御免だぜ」
「おかしーな。アンタは俺と同種だと思ってやしたぜ。こういうモンは虫酸が走る程嫌いなタチだと…」
『当てられちゃったね銀ちゃん』
「黙ってろよ」
『はーい』



「アレを見て下せェ」

そう言って、沖田さんはリングに立つ先程闘っていた鬼の面をつけた人物に目を向けさせた。名は鬼道丸。今まで何人もの挑戦者を金棒で潰してきた無敵の帝王なんだとか。

「奴をさぐりァ何か出てくるかもしれませんぜ」
『あれれ、何か流されてるんじゃない銀ちゃん?』
「オイ」
「心配いりませんよ。こいつァ俺の個人的な頼みで真選組は関わっちゃいねー。ここの所在は俺しか知らねーんでさァ。だから、どーかこの事は近藤さんや土方さんには内密に…」

沖田さんはそう言ってニッと笑うと闘技場から出ていった。その後、私達は暫く無言で顔を見合わせた。






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