Rocky and Funny!! | ナノ






「お姉ちゃん!しっかりしてよ!お姉ちゃん!」
『銀ちゃーん、桂さーん』



「「ん…」」

ポチが去ったのを確認すると私達は木から降り、こっそりとポチの後ろについていった。ポチは少し先の地面に皆を埋めるとどこかへ行ってしまった。それを見た私達は銀ちゃん達の元へと向かった。二人は私達の声でゆっくりと目を開けた。

「…よォ、元気だったか?坊主」
「全く、心配かけおって。ケガはないか?」
「そのセリフそのままバットで打ち返すよ」
「なまえも無事だったか」
「ケガはないか?」
『だからそのセリフそのままバットで打ち返すって』

ふと、銀ちゃんと桂さんはお互いの状況を見やった。

「…ヅラ、エラい事になってるぞ。体どこやった?」
「お前も生首になってるぞ。ナムアミダブツ」
「新八ィィ!神楽ァァ!定春ゥゥ!さようならァァ!なまえー!結婚してく『はよくたばれや』」
「落ち着いてよ!埋められてるだけだって!」

そう言っててる彦くんは銀ちゃんと桂さん達を掘り起こそうと土をかき出し始めた。すると隣で、同様に埋められているハタ皇子とじいさんが突然喧嘩を始めた。

「どーしてくれんだよバカ皇子!俺の人生もゲートボール大会もお前の頭も全てパーだ!」
「うるせー!ここ出たらクビにしてやっからな!」
「どーせ皆ここで死ぬんだよヒッヒッヒ!」

子供の前で何て事を言うんだ。そう思っているとてる彦くんの手が止まった。




「…ごめん。僕のせいでこんな事になっちゃって。何やってんだろ僕…。こんな沢山の人に迷惑かけて、何が男の証拠を見せてやるだよ。こんなの男のする事じゃないよね。…でもやっぱり父ちゃんの事バカにされるの悔しくて、父ちゃんはあんなだけど誰よりも男らしいの僕は知ってる。誰よりも心がキレイなのも僕は知ってる。…でも、誰もそんなの見えないし見ようともしない。悔しい…僕悔しいよ」

てる彦くんは泣き出した。
てる彦くんの気持ちはわかる。孤児院を経営していた片岡さんを否定していた人は沢山いた。勿論、孤児だった私もバカにされいじめられたりしたが、自分の事より何よりも片岡さんの事をバカにされるのは嫌だった。私はふ、と小さく笑ってしゃがみこんでてる彦くんと同じように土をかき出し始めた。

『…西郷さんの事バカにされるのが嫌なら強くなればいい。私も、嫌だったから強くなったんだよ』
「なまえちゃん…」
「…なまえ」



ギャオオオオス!!



「!!」

再びポチの鳴き声が屋敷内に響き渡った。後ろを振り返ればポチがこちらへと向かってきていた。(しまった…!)何とか攻撃しようかと思ったが今日は木刀を持ってきていなかった。

「オイオイ!こっち来てんぞ!」
「もういい!俺達はいいからお前達逃げろ!」
『私が二人を助けるからてる彦くんは逃げて!』
「何言ってんだ!オメーも早く…!!」
『てる彦くん!?』

てる彦くんは私達の言葉を無視して必死で土を堀り続ける。ポチは止まる事なく此方へと向かう。

「テメーまでおっ死ぬぞ!オイ!きーてんのか!?」
「うるさーい!僕は男だ!絶対逃げない!」
「そんな事を言ってる場合か!早く…!!」

ポチはもうすぐ側まで来ていた。私はどうなろうと構わない。だが、てる彦くんは絶対に助けたい。

『てる彦くん!!っ…!!』



「なまえ!!」






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