Rocky and Funny!! | ナノ






あれは私が7歳の時だった。物心がついた頃、私には両親がいなかった。家もない私は外で暮らしながらゴミを漁り飢えを凌いで生きていた。だが、それを白い目で見る大人、石を投げてくる子供に、日に日に生きる気力を失っていた。(…生きてる理由あるのかな)体力にも精神にも限界が来ていた私は"死"をいつしか望むようになっていた。ふと、ふさぎ込んでいた顔を上げれば、目の前には誰か立っていた。

【うちへおいで】

その人は汚い私に手を差し延べてくれた。








【えい!えい!】
【そう、その調子だなまえ】

その人は孤児院の院長だった。院長、否、片岡さんは私を孤児院に引き取り、剣術を叩き込み、名もない私に"なまえ"とつけてくれた。だから、私はこの名前が大好きだった。




孤児院で育ち私は元気な姿で12歳になった。そんなある日、私は月に一度貰えるそんなに多くはない小遣いを手にし、駄菓子屋へと向かった。買った飴を口に含み、ゆっくりと孤児院への道を歩いていると道端にある墓地へと目を移した。そこには、女の人が墓に手を合わせ目をつむる姿があった。

【誰か死んだの?】

何も考えず、私は口を開いた。女の人は私を見て、再び墓へと視線を戻した。

【あァ…大事な人さ】
【どうしてお饅頭が置いてあるの?】
【死んだ人にこうやってお供えすると届くんだよ】
【へー、じゃあ私もお供えしてあげるね】

私は女の人の隣に移動すると無造作にポケットに手を突っ込み、先程買ったお菓子を全て取り出した。それをお饅頭の隣に置くと見よう見真似で手を合わせた。




【…アンタどこの子だい?】
【あそこ】
【…孤児院かい】
【うん】
【…アンタがお供えしてくれたお陰でこの人も喜んでるよ。ありがとうね】

そう言って笑った女の人に何だか嬉しくなって照れると大きく手を振って孤児院へと走り去った。





それから数日して孤児院に女の人、否、お登勢さんがやってきて、私を引き取った。






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -