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「女より気高く、男より逞しく。それがママの口癖」
あれから私と銀ちゃんと桂さんはあずみさんと一緒に買い出しへと向かった。
『確かに、逞しいねー西郷さん』
「逞しすぎるだろ」
「私達みたいな中途半端な存在はそれぐらいの気位がないと世の中渡っていけない。オカマは誰よりも何よりも強くなきゃいけないの」
「それじゃあアゴ美も強いの?アゴ美のアゴは何でも砕けるの?」
「何でアゴ限定の強さなんだよ」
「それにしても西郷殿の強さは常軌を逸しているな。アレはただ者ではあるまい」
「昔はスゴかったらしいわよ。なんだっけな」
『白フンの西郷って呼ばれてたんだって』
「そうそう。なんかよくわかんないけど白い褌一丁で暴れまわった豪傑らしいわ」
「いやそれだけの情報じゃただの変態じゃねーか」
「…白フンの西郷……どこかで聞いたような」
「にしてもなまえ詳しいな」
『お登勢さんと一緒に暮らした頃から顔見知りではあったしね。話聞いたりはしてるから…ん?』
すると、どこからか子供の声が聞こえてきた。その声は誰かをいじめてるようで。声のする場所を覗いて見れば案の定、一人の子供がいじめられていた。私が止めようと向かう前に銀ちゃんと桂さんがそれぞれ手に持っていたアイスとジュースを口に含んで子供に向かって吐き出していた。(汚っ!)
「逃げろォォ!!」
「ボク、大丈夫?」
『…アレ?』
子供は急いで逃げていく。私とあずみさんがいじめられていた子供に歩み寄ると、見覚えのある顔だった。