６



合図と共に私達はスタートした。と、同時に私達より先へ進む舞流独愚の奴が突然叫びだした。

「フハハ！バカどもが来た来た！このレース自体が裏切り者を制裁する為の血の儀式とも知らねーで！てめーらは皆ここで死ぬんだよ！オイ、今だ落とせ！」

何を長々と喋っているんだ、と思っていると頭上からドラム缶が落ちてきた。

「『っいっせのーせェェ！』」

私達はそれを避けると私と神楽ちゃんで落ちてきたドラム缶を舞流独愚の奴ら目掛けて打ち飛ばした。

「え」



ゴッ！！



「平蔵ォォォォ！！」
『ナイスショットォ！』

ドラム缶は見事に奴らに当たった。バイクは一台消え、残りは馬に乗った二人となった。

「ブワハハハハ！誰が死ぬって？平蔵ちゃんよォォ」
「銀ちゃんもうオシッコ限界」
「ええ？もうもらせもらせ。アッハッハッハッ！」

銀ちゃんが上機嫌に笑っていると突然銀ちゃんの運転していた原チャリが目の前でスリップした。当たりそうになった私がギリギリそれを避けるとホームレスの家へと突っ込んでいった。

『！もー危ないなー！』
「(ちょっとは心配しろよ…)」




ブォン！！




「ぶっ！！」

その時、後ろからエンジン音が聞こえたと思ったら銀ちゃんの頭を踏み台にして、一台のバイクが飛んだ。誰だ、と思うとお妙さんと新八くんが乗った原チャリだった。私は驚きつつ後ろを追いかけた。

『お妙さん！？何踏み台にしてるんですか！』
「そうですよ！銀サンあれ死んじゃったよ！ねェ！」
「私の前は何人たりとも走らせないわ。たとえ味方であろうとも。私は風！風になる！キャハー！」
「アレ？姉上？ちょっとォ！なんか違う世界の扉開いちゃった？」
『……』

前を走れば私まで危害が来そうだ。とりあえず私はそっと少しお妙さんと距離を空けるように後ろへと下がった。お妙さんは運転するのが楽しいのかハンドルから手を話し出した。

「ああ気持ちイイ！あと３キロくらい出せばタイムスリップできる気がするわ！」
「姉上、タイムスリップは一人でして下さい！それよりハンドル！ハンドル握って！」
『てゆーか二人とも横横！』
「！」


「うおらァァ！これ以上は行かせねーぞ！【舞流独愚】の恐ろしさを思いしれ！」

私の声に横を見た二人に馬に乗った舞流独愚の奴がお妙さん達を木刀で攻撃を始めた。加勢に入ろうとしたが、何故か運転側のお妙さんが相手に掴みかかりだした。(オイオイ！運転運転！)

「お前何さらしとんじゃああ！あと３キロなんだよ！邪魔すんじゃねェェ！」
「ああハンドル！ハンドル！」
『お妙さんハンドル握ってあげてェ！』



ズルッ



その時、何かがズレる音が聞こえた。