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さて、この先どうしたものか。そう考え項垂れていると沖田さんが突然口を開いた。
「実は前に土方さんを亡き者にするため外法で妖魔を呼び出そうとした事があったんでィ。ありゃあもしかしたらそん時の…」
「アンタどれだけ腹の中真っ黒なんですか!?」
「元凶はお前アルか!おのれ、銀ちゃんの敵!」
『げ…ちょっとちょっと!』
「あー、もう!狭いのにやめろっつーの!」
沖田さんの言葉に神楽ちゃんが突っかかり出した。そんな二人を見て私と新八くんは呆れていた。
「ぎゃあああああああ!!」
すると突然新八くんが叫び出した。なんだ、と新八くんを見ると扉に向かって土下座をしたかと思えば、喧嘩をしていた神楽ちゃんと沖田さんまで無理矢理に土下座させ始めた。(ど、どうした新八!?)
どうやら扉の向こうから幽霊が覗いていたらしい。だが、顔を上げた時には既におらず。不思議に思った私の鼻についたのは蚊取り線香。
『…あ』
「え、どうかした?」
『…まさか』
「?あっ!なまえちゃん!?」
ぴん、ときた私は倉庫から出ると急いで隊士達が寝込んでいる部屋へと向かった。
『やっぱり…』
部屋へと入った私は隊士達をじっくり近くで眺めた。
「どうしたの、急に走り出して…」
『新八くん。幽霊の正体、わかったよ』
「!」
私は新八くんに笑うと部屋から出て幽霊を探しながら状況を説明し始めた。
『幽霊にやられた人には皆蚊にさされたようなキズがあったでしょ?』
「あ、そう言えば」
『で、昔孤児院に居たときに天人の事をちょっと勉強した事があってその時に聞いた事があるの。人の血を吸う蚊の天人がいるってね』
「まさか…」
『うん。多分あれは幽霊なんかじゃなく蚊の…あ』
話の途中で目に入ったのは幽霊と銀ちゃんと土方さん。だが、銀ちゃん以外の二人は何故か気絶していた。(え、一体何が?)