Rocky and Funny!! | ナノ






私達は厠から便器に頭を突っ込んでいた近藤さんを救出すると部屋へと運んだ。気を失う中近藤さんは"赤い着物の女が来る"と繰り返し呟き魘されていた。

「近藤さ〜ん、しっかりしてくだせェ。いい年こいてみっともないですぜ寝言なんざ」


「…アレだ。昔泣かした女の幻覚でも見たんだろ」
「近藤さんは女に泣かされても泣かした事はねェ」
『…そんな気してました』
「じゃあアレだ。オメーが昔泣かした女が嫌がらせしにきてんだ」
「そんなタチの悪い女を相手にした覚えはねェ」
『最低ですよ土方さん!ちゃんと自分がした事は自分で処理して下さい!』
「いやだからしてねーって言ったじゃん」
「…じゃあ何?」
「しるか。ただ、この屋敷に得体のしれねーもんがいるのは確かだ」
「…やっぱり幽霊ですか」
『そんな訳ないでしょ。ねェ銀ちゃん?』
「あァ。俺ァなァ、幽霊なんて非科学的なモンは断固信じねェ。ムー大陸はあると信じてるがな」

そう言って何故か銀ちゃんは私と神楽ちゃんの頭をなで回した。(なにやってんだ?)そしてゆっくりと立ち上がると帰るぞ、と切り出した。だが、何だか手に温かいものを感じた。

「銀さん…」
『何コレ?』
「しかも何で三人全員の手持ってるアルか?」
『…まさか銀ちゃん』
「なんだコラ。てめーらが恐いだろーと思って気ィつかってやってんだろーが」
「銀ちゃん手ェ汗ばんでて気持ち悪いアル」

怪しい。私がそう思った瞬間、沖田さんが突然「あっ赤い着物の女!!」と叫んだ。すると銀ちゃんは一目散に押し入れへと突っ込んだ。



「…何やってんスか銀さん?」
「いや、あのムー大陸の入口が…」

銀ちゃんの意味のわからない返答に私達は顔を見合わせた。(まさか銀ちゃん)

「旦那、アンタもしかして幽霊が…」
「なんだよ」
『そんなんでよくおばけ退治やろうなんて言ったね』

呆れた。大の男が幽霊に怖がるなんて。いや、そりゃあ実際にいれば恐いけど幽霊なんているわけない。私ははあ、とため息をついた。

「土方さん、コイツは…アレ?」

と、沖田さんの声に反応して顔を上げると何やら壺に頭を突っ込んでいる土方さんが目に入った。(まさか土方さん)

「土方さん、何をやってるんですかィ」
「いや、あのマヨネーズ王国の入口が…」



「「「『……』」」」

何故コイツらは何かしらの入口を探すフリをするのかは置いておいて。情けない。私と新八くんと神楽ちゃんと沖田さんはそんな気持ちを表すような視線で二人を見ると部屋からでていこうと歩みを進めた。

「待て待て待て!違う、コイツはそうかもしれんが俺は違うぞ!」
「びびってんのはオメーだろ!俺はお前、ただ胎内回帰願望があるだけだ!!」
「わかったわかった。ムー大陸でもマヨネーズ王国でもどこでもいけよクソが!」
『胎内でもねー』
「「なんだそのさげすんだ目はァァ!」」




本当に呆れた。銀ちゃんはまだしも、土方さんまで。そう思うとため息が止まらない。ふと、銀ちゃんと土方さんの後ろにある襖に目がいった。

『ん?』
「どうしたアルかなまえ…ん?」

神楽ちゃんも同じように襖へと目をやる。銀ちゃんと土方さん以外は視線を襖に集中させ硬直していた。

「なんだオイ」
「驚かそうたってムダだぜ。同じ手は食うかよ」
「……オイ、しつけーぞ」





「ぎゃああああ!!」

私達は二人の言葉など耳に入っておらず、懸命に駆け出した。まさか、本当に幽霊がいるなんて。暫くして銀ちゃんと土方さんの悲鳴も聞こえた。(ああ…御愁傷様!)






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