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高杉が倒れ込んだのを見ると銀ちゃんは私の手を一気に引っ張り、騒ぎの真ん中へと突き進んでいく。
「ったく…何やってんだよ」
『だってあの高杉って人銀ちゃんに刀抜き始めるから驚いちゃって…』
「…アイツだけには関わんじゃねーぞ」
『…銀ちゃん、』
「アイツはヅラ達とは違ェ考えの奴だ。何しでかすかわかんねー危ねー野郎だ」
『…うん』
銀ちゃんの表情が上手く読み取れない。だがそれは冗談ではないとわかる。私は頷くと平賀さんの元へと向かった。
「オイ、随分と物騒な見せもんやってんじゃねーか」
『ヒーローショーに変更?』
「!」
騒ぎの元へとたどり着くと平賀さんと新八くんが何やら話していた。そこへ銀ちゃんと私が割って入る。視線はこちらへと向いたが平賀さんは平然とした表情を浮かべた。
「俺にヒーロー役やらせてくれよ」
『じゃー私はさらわれるヒロイン役?』
「…テメーらじゃ役者不足だ。どけ」
「しょうもねー脚本書きやがって役者にケチつけれた義理かテメー」
『今時敵討ちなんて流行らないよ。誰も救わない』
「三郎が泣くぜ」
「どっちの三郎だ」
『どっちもだよ』
「こんなこたァ誰も望んじゃいねー。アンタが一番わかってんじゃねーのか?」
銀ちゃんの言葉に平賀さんの表情が曇った。平賀さんが喋るごとに、どれだけ息子さんを愛していたか、痛い程にわかる。
「俺ァただてめーの筋通して死にてーだけさ。だからどけ。邪魔するならお前らでも容赦しねェ」
「どかねェよ」
『私達にも通さなきゃならない筋があるの』
「…撃てェェ!」
私たちは三郎と向き合い、平賀さんの叫び声と共に一気に木刀を抜いた。