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「…お登勢サン、あの人ホントに江戸一番の発明家なんですか?」
三郎に殴られている平賀さんを白い目で見ながら新八くんはお登勢さんに言葉を投げかけた。
「あん?何かそーらしいよ」
そんな新八くんにお登勢さんは人から聞いたらしい発言をする。そして、煙草の煙をふう、と吹くと周りに置かれたカラクリに目をやった。
「昔っから好き勝手ワケわからんモン作ってるだけなんだけどね。私らにゃただのガラクタにしか見えないね〜」
『確かに…』
「ガラクタなんかじゃねェ」
今度は煙とともにため息を吐きながら発したお登勢さんの言葉に平賀さんが返すよう言葉を出した。
「ものを創るってのは、てめーの魂を現世に具現化するようなもんよ。こいつらは皆、俺の大事な息子よ」
『…平賀さん』
何だか、とてつもなく良い事を言われた気になった私はじーん、と胸を響かせた。
「息子さん、あっちで不良にからまれてるよ」
「びゅ〜ん!」
「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
「ロケットパンチ発射アル!!」
「やめてェェ!!そんな機能ないから!腕もいでるだけから!!」
『…作業進めよ』
「そうですね…」
私と新八くんはロボットにちょっかいを出す銀ちゃんと神楽ちゃんをよそに、二人で顔を見合わせると引っ越しの続きを始めた。
「これでヨシと」
私たちは全てのロボットを河原へと運び出すと平賀さんを解放した。
「ここなら騒いでも大丈夫だろ。好きなだけやりな」
「好きなだけって…みんなバラバラなんですけど…」
『三郎は神楽ちゃんが護ってくれてたみたい』
「御意」
「なんか形違うぞ!腕ねーじゃん!」
すると平賀さんが膝をつき「祭に間に合わねーよ!」とうなだれた。何でもこのロボットたちは三日後に開かれる祭に将軍様が来るらしくカラクリ芸を披露するために作っていたんだとか。
「どーすんだ。間に合わなかったら切腹モンだぞ」
「「「『……』」」」
私たちは顔を見合わせた。
「ヤベ。カレー煮込んでたの忘れてた」
『今日カレー?お肉持っていくから私も呼んでよ』
「お〜いいぞ」
そして私たちは何事もなかったかのように家へと帰る道を歩き出した。
「オイぃぃ!!」