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「舵はどこにあるぜよ?」
すぐさま坂本さんへ掴んでいるものが操縦機ではなくパイロットの足だと指摘すれば、首を傾げて操舵室を見回した。
「これじゃねーことだけは確かだよ!」
「銀ちゃんコレは?」
『それもパイロットの一部だから!』
「パイロットから頭離せェェ!」
『スイマセンパイロットさん!ほらっ皆も謝って!』
「スイマセンパイロットさん!」
「オイオイヤベーぞ!なんかどっかの星に落ちかけるってオイ!」
私たちがなんやかんやと言い合っていると窓から見えるよくわからない星が目の前に近づいていることに気付いた。
「銀さんコレっすよコレ!」
「ボクでかした。あとはワシに任せ…うェぶ!」
「ギャー!こっちくんな!」
『アナタ船好きじゃないの!?』
「イヤ船は好きじゃけれども弱くての〜」
『なにその複雑な愛憎模様!?』
「新八、もういいから私に任すヨ!私文集に将来の夢パイロットに書いたヨ!」
『神楽ちゃん所詮夢なんて夢のままなんだよ。アイドルになりたくてもなれないんだよ!』
「…なまえちゃんアイドルになりたかったんだ」
「オメーらは引っ込んでろ。もういい、俺がやる!普通免許もってっからこんなモン原チャリと同じだろ」
『原チャリみたいな簡単な構造な訳ないよ!私がやるよ!この前夢で操縦したから!いけるから!』
「どっからその自信湧いてくるんだよ!てかどっちの夢も結局夢だろォォ!」
「オウオウ、素人がそんなモン触っちゃいかんぜよ」
私たちがギャーギャーと舵を取り合っていると、後ろから坂本さんが止めに入る。
「このパターンは四人でいがみ合ううちに舵がポッキリっちゅ〜パターンじゃ。それだけは阻止せねばいかん!」
そう言って坂本さんは舵へと歩み寄る。と、その時下に落ちていた船の破片につまづくと、勢いよく私達へと倒れ込んできた。
ポキッ…
私たちは思わず坂本さんを避けると、坂本さんはそのまま目の前にあった舵を掴み、全体重をかけてしまった事により舵がとれてしまった。
「アッハッハッそーゆーパターンできたか!どうしようハッハッハッ!」
「アッハッハッじゃねーよ!あ゛あ゛あ゛!」
『皆で念仏を唱えよう!誰か指揮とってェェ!』
船は操縦を失い真っすぐに目の前の星へと突き進む。私たちは死を覚悟した。