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「金時じゃなかか!」
『…え?金時?』
知り合いかと思えば、何故だか男は銀ちゃんを金ちゃんと呼んだ。
「おんしゃなぜこんな所におるかァ!?久しぶりぶりじゃのー金時!珍しいとこで会うたもんじゃ!こりゃめでたい!酒じゃー!酒を用意せい!」
『銀ちゃんって金時だったの?ってかこの人勝手に盛り上がってるんだけど』
ゴッ!
すると銀ちゃん(いや金ちゃん?)は掴んでいた男の頭を思い切り船の壁に打ちつけると、男はまた気絶した。
「銀時だろーがよォ銀時!」
『あ、銀ちゃんでいいんだ』
「たりめーだろ。お前、もし俺が金時だったらジャンプ回収騒ぎだぞバカヤロー」
『あっ私頑張って回収するよ!』
「しなくていいから。そんなとこ頑張らなくていいから」
暫くして男がまた目を覚ますと操舵室へと向かった。操舵室には操縦士が何人も倒れ込んでいて事は重大なのだと今やっと思い知らされる。
「銀さん!」
すると新八くんたちも後から操舵室へとやってきた。
「やばいですよ。みんな念仏唱え出してます」
『うわ、しまった〜。念仏なんて私わかんないよ。あ〜勉強しとけばよかったよ』
「そーゆう問題じゃないよ!」
「心配いらねーよ。あいつに任しときゃ…。昔の馴染みでな、頭はカラだが無類の船好き。銀河を股にかけて飛び回ってる奴だ…。坂本辰馬にとっちゃ船動かすなんざ自分の手足動かすようなモンよ」
銀ちゃんの言葉に私たちは坂本さんを少し尊敬のようなそんな眼差しで見つめた。私たちもそんな凄い人なのか、と銀ちゃんに続き視線を移せば、坂本さんはどことなく目を輝かせたように操縦機を見渡していた。
「よーし、準備万端じゃ。行くぜよ!」
だが、坂本さんが握っていたのは操縦機ではなくパイロットの足。
「ホントだ頭カラだ…」
『今からでも念仏学ぼうかな』