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「あ〜気持ち悪いの〜。酔い止めば飲んでくるの忘れたきーアッハッハッハ」
『…アレ?あれって定春じゃない?』
扉を開けた男は気持ち悪そうな顔色をしながら入ってきた。私はふと男の頭に何かついてると視線を向ければ定春だった。(神楽ちゃんの話によればさらわれたって言ってたんだけど、どー見ても定春、自分から噛み付いてるような…)
「あり?何?なんぞあったがかー?」
男は定春が噛み付いてることなど気にもしてないようにフロアを見渡した。
「定春ぅ!このヤロー定春は帰すぜよォォ!」
「あふァ!」
そんな男にお構いましに神楽ちゃんは勢いよく男めがけて蹴りを食らわした。
『神楽ちゃんん!?アレどー見ても定春からだよ!ってか何その語尾?』
だが、神楽ちゃんは私の言葉にお構いなく定春との再会を喜んでいた。すると銀ちゃんが神楽ちゃんに蹴られ気絶した男の側へと歩み寄りハッと何かに気付いた。
「こっ…こいつァ…」
『?銀ちゃん知り合い?』
ドオォンッ!!
その時、船内に大きな爆発音が響いた。どうやら操舵室で爆発が起こり、操縦士が皆負傷しているとのこと。船は大きく傾き私たちは床に倒れ込む。
「どなたか宇宙船の操縦の経験のある方はいらっしゃいませんか!?」
「もうホント誰でもいいから助けてェ!」
「……!」
『あっ銀ちゃん?ちょっと!』
乗客たちの声に銀ちゃんは倒れている男を掴むと、一気に走り出した。そんな銀ちゃんに続き私も走り出した。
「!誰じゃー!?ワシをどこに連れてくがか?」
男は銀ちゃんに掴まれたと同時に目を覚まし引っ張られながらも声を上げる。
「テメー船大好きだったよな?操縦できるだろ!」
『(…一体どーゆう関係?)』
「なんじゃ?おんしゃ何でそげなこと知っちょうか?…あり?どっかで見た…おおおお!!」
そこでやっと男が顔を上げ、銀ちゃんを見ると驚いた顔で叫んだ。