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「とにかく、金が無いなら働いて返してもらうよ」
『あ、お登勢さん神楽ちゃんが』
「ん?」
銀ちゃん達に掃除をしてもらっている途中、私がお登勢さんの肩を叩いて神楽ちゃんを指さすと雑巾がけをしながらガシャン!と豪快な音を立てて机へと突っ込んだ。
「チャイナ娘ェェ!雑巾がけはいいからお前は大人しくしてろォ!バーさんのお願い!」
「ソレガ終ワッタラ私ノタバコ買ッテキテナ」
「『てめーも働けっつーの!』」
タバコをふかしながら指図するキャサリンに私とお登勢さんはスリッパで叩いた。
「…バーさん、アンタも物好きだねェ」
そんなやり取りを見た銀ちゃんは口を開いた。
『やっぱり銀ちゃんもそう思う?』
「店の金掻っ払ったコソ泥をもう一度雇うたァ。更正でもさせるつもりか?」
「そんなんじゃないよ。人手が足りなかっただけさ」
『(絶対ウソだ)』
「ボーッとしてたらまた足元すくわれるぜバーさん」
『前回は捕まえれたけど、次は完璧に逃げちゃうかも』
「大丈夫さ。もうやらないよ。約束したからね」
『……』
お登勢さんの言葉にあたしは何も言わずにいた。そんな中、ふと銀ちゃんの方を見れば姿が消えていた。お登勢さんもそれに気付き怒り狂うまであと5秒。