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「悪かったな。勘違いでこんな目に合わせちまって」
私たちの容疑が晴れ、解放されることになったが辰巳さんは少し曇った顔で私達に謝った。
『いいんです。私達も疑われるような事しましたし』
「まァ気にすんなや。俺も見苦しいもの見せちまったしあいこにしよーや」
「オメーここに来てから股間の話しかしてねーぞ!」
『銀ちゃん今から警察行こうか』
「…ったく変な野郎達だよ」
『…え、達?また同類?』
辰巳さんは呆れた顔で歩き出した。
「オイオイ、どこ行くんだ?」
「放火魔捕まえに決まってんだろ。こんなことでへこたれる俺じゃねェ。俺ァ江戸一番の火消し目指してんだ。アイツらにも放火魔にも負けねェ!」
辰巳さんはそう言うと歩いて行った。
『……格好いいねェ』
「…ハゲが言った言葉、お前気にしてただろ」
『…女が刀握って、侍になれるわけないって言われ続けた。けど、コレは片岡さんが唯一残してくれたものだからね。私は守り抜くよ』
「……格好いいねェ」
『アレ?銀ちゃんどこ行くの』
「寄り道」
銀ちゃんが歩き出したのを確認すれば、家とは反対方向だった。銀ちゃんの考えてる事がわかると私は思わず笑ってしまった。(素直じゃないなァ)