09
「「ヒソカ!?」」
『……』
現れたのはヒソカだった。
「どうしてお前がここに!?」
一番に反応したのはゴンだった。ゴンの問いにハンター試験を思い出させるようなヒソカ特有の笑い声を耳に入れた。
「別に不思議じゃないだろ?僕は戦闘が好きでここは格闘のメッカだ。君たちこそ何でここにいるんだい?なまえも久しぶりだね。会いたかったよ」
『私は会いたくなかった』
「うん、相変わらず冷たいね」
『どうせ今言った理由ウソなんでしょ』
「くっくっくっ…なまえには僕のことはお見通しなんだね」
『(あああ虫ずが走る)』
「(キルア…なまえが怒ってる…)」
「(ああ…やばいな)」
「もちろん、偶然なんかじゃなく君たちを待ってた。そこで、ここの先輩としてなまえ以外の君たちに忠告しよう。このフロアに足を踏み入れるのはまだ早い」
ヒソカの言葉に思わず舌打ちしそうになった。(あー余計なことを)だが、キルア達は気づいていないようだった。その瞬間、ヒソカが片手を払った。すると私たちに向かって強い風が吹いた。私たちはそれを必死に防いだ。
「出直したまえ。とにかく今は早い」
「ざけんな!折角ここまで来たのに…!」
「通さないよ。ってか通れないだろ?」
すると今度は厚い壁のようなものが、圧のようなものが私たちに襲いかかる。キルアとゴンが苦い顔をするのを私も真似た。
「無理はやめなさい」
「「!ウイングさん!」」
すると後ろからウイングさんの声が降ってきた。私たちが振り向くと案の定そこにはウイングさんがいた。
「彼の念に対し君達はあまりに無防備だ」
「これが燃だと!?あいつが「通さない」って思うだけでこうなるってのか!?ウソつけ!」
『(やっぱりずっと疑ってたんだな)』
「はい。あれはウソです」
ウイングさんがすんなりと頷くとキルアはバツの悪そうな顔をした。そんなキルアをよそに、ウイングさんは言葉を続けた。
「本当の念について教えます。だからひとまずここから退散しましょう」
ウイングさんの言葉に私たちは顔を見合わせると一斉に時計を見た。
「もし…今日。登録できなかったとしたらオレたちどうなるの?」
「ゴン様となまえ様はまた1階から挑戦し直していただけます。ただ…」
『ただ?キルアは?』
「はい…キルア様は以前登録を断ってらっしゃいますからまた未登録という形になりますと登録の意志なしとみなされ参加自体不可能となってしまいます」
「「『……』」」
女の言葉に私たちに少し沈黙が流れた。
「ひとまず…退いて」
だが、それをキルアが破った。
「0時までに戻ってこれるかい?ここに」
「君次第だ」