02
暫く皆の戦いを見ていると会場アナウンスでゴンが呼ばれた。緊張するゴンにキルアはアドバイスした。ゴンがリングへと向かうと相手は巨体の男。だが、私もキルアも肘をついてそれを見ていた。
「ゴンが勝つと思う?」
『アドバイスまでしてわかってるくせに』
試合を見ている客席は子供が出てきた事に大きな声で野次を飛ばしている。基本的に煩いのが嫌いな私は黙らせてやろうかと思ったがそういう所なのだと言い聞かせ黙ってゴンの試合を見ていた。
「お前殺気出し過ぎ」
『あ、バレてた?』
なんてキルアと話しているとあっという間にゴンは巨体の男をリング外へと吹っ飛ばした。(おー、いつの間にかあんなに力ついてる)何やらゾルディック家の"試しの門"で力がついたらしい。
それからキルアもアナウンスで呼ばれリングへと向かう。結果はわかっていたように、キルアも一発で相手を気絶させた。
「どうだった?」
試合を終えたキルアが上機嫌にこちらへと向かってきた。私は笑うと『はいはい、かっこよかったよ』とキルアの求める返答をした。キルアが満足げに笑っていると今度は私が呼ばれた。
『次は私だ』
「こんな所でやられんなよ」
『やられる訳ないでしょ。お姉さんだっていう所見せてあげる』
「「?」」
ニッとキルアとゴンに笑い、リングへと向かう。お決まりのように子供で、更に女の私の登場に客席からの野次が先程よりも荒くなる。
『…るさいなー』
私はそんな野次を無視して相手を見た。
「始め!」
審判の掛け声と共に相手の男がこちらへと向かってくる。私は一切動かずに男の攻撃を避けると膝を軽く上げた。避けたはずみに体制を崩した男のお腹に触れるように膝が当たると男は「かはッ!」と咳込み、そのまま倒れ込んだ。
「な…!」
「おいおい…膝が当たっただけだろ?」
いつの間にか野次はどよめきへと変わっていた。審判が暫く黙って立ち尽くしていたが我に返ったのか、私へと声が降り懸かる。
「2056番」
『はい』
「君は100階へ…」
『あ、私50階がいいんですけど』
「…?では50階へ」