04
再び歩きだし、暫くすると今度は門のような場所に少女が立っているのが見えた。
「なまえ様ですね」
『?うん』
少女が頭を下げた。
「私は執事のカナリアと申します。話しは聞いております。では…」
『…ん?』
カナリアはそう言うと突然構えた。私は通してくれるのかと思えば全くの予想が外れ頭にはてなを浮かべると、突然手に持った杖が私を襲った。
『えーなに?戦うの?』
私はため息を吐き、それを真正面から素手で受け止める。(甘い物食べたいから今戦うの嫌なんだけどなー)するとカナリアは驚いた表情を浮かべ汗を垂らした。
「…はい。イルミ様からなまえ様を試してほしいと言われましたので…」
『あーなるほど。で、どうしたら通れるの?殺すわけにはいかないだろうし』
「……」
私の言葉にカナリアが自分の目の前の地面に一本の直線を引いた。
「ここを一歩でも超えたら私の負けです」
カナリアが引いた線を見ると私はニッと笑って『わかった』と頷き歩き出した。
「…!な、いつの間に、」
歩き出したと言っても、カナリアには見えない速さで気配を消し、一瞬にしてカナリアの背後に立った。カナリアは私が消えた、と辺りを見回し、最後に振り返った。驚いた顔つきで私を見ると再び頭を下げた。
「流石はイルミ様の恋人様です」
『!(そうだそんなこと言われてた)あのね、実はそうじゃなくて』
「お屋敷はこの道を進んで頂ければ見えてきます」
『……ありがとう』
私が否定しようとしたが言葉が遮られまあここで違うと言えばややこしくなりそうだと考えた私は再び歩き出した。
やっとたどり着いた屋敷の前にはヒラヒラのドレスを着た女の人と着物を着た少女が立っていた。
「ようこそゾルディック家の屋敷へ。私はイルミの母です。この子はカルト」
『…どうも』
「さあ、中に」
イルミの母と名乗った女の人に言われるがまま屋敷の中へと入っていった。(キルアがこの中にいるんだよなー…あ、ゴンたちに連絡しとかなきゃ)