空即是色 | ナノ

03



「ぎゃあぁ〜っ!」
「「「「『!!』」」」」

太った男、否トンパからいろいろな話を聞いていると、少し離れた場所から悲鳴が聞こえた。




「アーラ、不思議。腕が消えちゃった」

悲鳴が聞こえた方へ目をやると男の腕が綺麗に消え、奇妙な格好で不気味な笑いを浮かべる男がいた。(…危なそうなオーラ出してるなー)なんて思っているとトンパが呟いた。

「ちっ……アブない奴が今年も来やがった。44番奇術師ヒソカ。去年合格確実と言われながら気に入らない試験官を半殺しにして失格した奴だ」

トンパの話を聞いてへえ、と少し興味深くヒソカという人物を眺めていると目が合った。ヒソカは先程と同じように不気味に口端を吊り上げて笑うと奥へと歩いていった。(うわー目つけられたかな)




「他にもヤバイ奴はいっぱいいるからな。ま、オレが色々教えてやるから安心しな!」

気を取り直して言ったトンパが「おっと、そうだ」と4つの缶ジュースを取り出し私たちに渡した。(どっから取り出したんだ)

「お近づきのしるしだ、飲みなよ。お互いの健闘を祈ってカンパイだ」

なんだか胡散臭い言葉に怪しいと思いながらもフタを開けて喉へと流し込んだ。(不味い。やっぱりなんか入ってたー)

「トンパさんジュース古くなってるよ!味が変!」

同時にジュースを飲んだゴンがジュースを流し出した。(へえー、素人からすれば味も臭いも全くしないはずなのによく気付いたなー。ゴンて意外に凄い味覚を持ってるのかも)


「申し訳ないっ!」

トンパはあたかも気付かなかったという素振りで手を合わせて頭を下げた。ふと視線を感じた方に目をやるとクラピカだった。

「なまえ、君は飲み干したようだが大丈夫なのか?」
『あー私は大丈夫だよ。古くなってよーが、毒が入ってよーが、私には効かないから』
「……」

私の言葉にキョトンとした三人を余所ににっ、とトンパにわざとらしく笑うとトンパはギクッと肩を上がらせて「そ、それはよかった…」と顔を引き攣らせた。







ジリリリリリ。



暫くすると今いる場所全てに響き渡るような音が聞こえた。音が鳴る方へと視線を向けると口元に髭を生やした男がいた。

「ただ今をもって受付時間を終了いたします」

どうやら私で最後だったらしい。私は先ほど貰った406の番号札を胸につけた。






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