空即是色 | ナノ

16



時計の針は12時を指していた。ネテロ会長のゲームとは至ってシンプルだった。ネテロ会長からボールをとること。もしとることが出来ればハンターの資格をくれる、なんておいしいことまで言ってきた。(そんな簡単に?…いや、簡単なわけ、ないか)



「なまえやらないの?」
『お風呂入ったばっかだし汗かきたくなーい』
「(…自由な奴)」

ゴンの問いに笑ってひらひら手を振るとストン、と部屋の隅で既に始まっていたゲームを観戦し始めた。


交代ずつ二人がネテロ会長から奪おうと必死になる中、ネテロ会長は余裕な表情をし、それを阻止していた。(確かに最高責任者なだけあるなー)私はそんなことを考えながら必死になっている二人を笑って見ていた。(キルアまで必死になるなんて)

暫くして、今度は二人がかりでボールを取ろうと予測の出来ない攻撃を繰り出し、ボールを奪える、そんなチャンスがきた時だった。ネテロ会長の踏み込みに一瞬、唖然としてしまった。踏み込んだ場所にはものすごく減り込んだ跡が残っていた。



「やーめた。ギブ!オレの負け」

キルアはいち早く降りた。今の踏み込みもそうだが、どうやらキルアもネテロ会長が右手と左足を使っていないことに気付いていたらしい。だが、ゴンはまだやると言い、ボールはもういいから意地でも右手を使わせたいと言った。そんなゴンにキルアは呆れ、私は思わず笑ってしまった。(やっぱり面白いなーゴンって)




時計は4時を回っていた。ゴンはネテロ会長からあれから何時間もボールを取ろうと挑んでいた。(ボールはいいんじゃなかったっけ)なぜか、ボールをとるために頭突きをしてくるゴンからネテロ会長は逃げようと思わず右手を使い、それを見たゴンは「勝ったあ―!!」と喜び、そのまま寝入ってしまった。

『あはは、趣旨変わっちゃってる』

気持ち良さそうに寝ているゴンにそう言うと、ふと視線を感じた。ネテロ会長を見れば案の定私を見ていた。

「お前さんはいいのか?」
『ネテロ会長疲れたでしょ。今からしたら、私が絶対に勝っちゃう』
「ほっほっほっ大した自信じゃ。じゃが、お前さんは確かにこやつらより強そうじゃ。さっきの気配にも完全に見切ったのには驚いたわい…その様子じゃ、"念"も修得しているか…」



そう言ったネテロ会長の言葉に私は笑った。

『勿論』






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