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次の日。
私はゴンとキルアの部屋へと向かったが二人は部屋におらず、ウイングさんのところへ先に向かったのかと、闘技場を出る事にした。
「ゴンVSサダソの一戦!今買っとかないと後悔するよー!!」
その時、耳を疑うような言葉が聞こえ、チケットを売っているおじさんの元へと足を進めた。
『おじさん、私にもちょーだい』
「はいよー」
『ねえ、サダソってどんな奴?』
「片腕の闘士だよ。能面みたいな顔した奴さ。こいつの見えない左腕に捕まったら最後だぜ。別名新人ハンターって呼ばれ……!」
『…ふーん、ありがとーおじさん』
私はおじさんに礼を言い、闘技場を後にした。
「おい、どうした?」
「膝蹴りのなまえだ…」
「え?」
「200階クラスのなまえだよ!」
「おー確かあいつもゴンより先にサダソと戦う予定だろ?何だあいつらは?キルアといい、自分が次に戦う相手のこと何も知らねーのかよ。やっぱりガキだな。それじゃ勝てるわけがねーぜ」
「いや…賭けるぜ。オレはキルアとなまえが勝つ方に5万だ」
『やっぱり二人とも先に来てたんだ?』
「あ、なまえ。えへへ、ごめん」
「押忍!」
あれから私はウイングさんのところへとやってきた。
「やあ。なまえさんも、昨夜はズシが御世話になったみたいだね。ありがとう」
『いえいえー。ズシ、体は何ともない?』
「大丈夫っす!キルアさんもなまえさんも本当にありがとうございました!」
元気そうなズシを見て私は良かった、と胸を撫で下ろすとウイングさんへと顔を向けた。
『ところでウイングさん。私、戦う日を早めようかなーって思っててさ』
「え?なまえさんに関してはいつ戦って頂いても構いませんが…まさか三人とも早めたいだなんて驚いたものですね」
『(やっぱり)そうなんだ?でも二人とも凝がまだクリア出来てないんじゃないの?』
「それが…二人ともクリアしてしまったんですよ」
『!!』
ウイングさんの言葉に私は驚いた。昨日のキルアの言葉に大体の予想はしていたが、まさか本当にたった1日で凝をクリアしてしまうとは。しかもゴンまでなんて。流石は私に興味を引かせた二人だ。(ああ…ゾクゾクしちゃう)二人の素晴らしい成長に私は思わず身を震わせた。