09
「あたしのメニューはスシよ!!」
二次試験後半の試験官、メンチが叫ぶと会場内はざわめき始めた。(…スシって、何?)聞いたことのない名前に私を含めた受験者たちは頭にハテナを浮かべた。だが、クラピカが読んだことがあるというスシの説明に大声で返事をしたレオリオに皆は物凄い勢いで川へと走って行った。(レオリオってバカだなー)
『あ、キルア』
「よ」
川にたどり着くと、先に着いていたキルアが川を覗き込みながら座り込んでいた。私も隣へ近づくと川を覗き込み、魚を捉えた。
『見て、魚』
「オレもう捕まえたぜ」
『本当?私も早くしないとね』
綺麗に澄んだ水の中を群れるように泳ぐ魚に私の目の色が変わる。ゆっくりと手を入れると確実に魚を掴み、ぐ、と力を入れた。その手を川から取り出すと捕まえた魚は既に動いていなかった。
それを見たキルアは少し引いた顔をしていた。
「うわーお前って意外にえぐいんだなー」
『なんで?ほら、急ごう』
にっこりと笑った私にキルアは何か言いたそうな顔をしていたが何も言わず会場へと戻ることにした。
会場に戻ったのはいいが、皆どう調理するのかと悩んでいた。(魚と、用意された酢が染み込んでいるご飯…)もちろん、私にも何が何だかわからなかった。
「出来たぜー!」
勢いよく叫んだのはレオリオだった。レオリオは自信満々にメンチの元へと料理を持っていく。が、レオリオの"スシ"は惨いものだった。(魚生きてる…)メンチは味見することもなく(というか味見したくない)皿を放り投げた。
自信作だと悔しんでいたレオリオの横を通り今度はゴンが料理を持っていくがレオリオと同様の仕上がりだった。
「403番とレベルがいっしょ!」
メンチの言葉にゴンが肩を落としているのを見て私とクラピカは必死に励ました。そこから次々と他の受験者たちも料理を持っていくが全て味見されることなく却下されていった。(…包丁があるってことは、魚を捌くんだろうけど…)私も頭を捻るが、なかなかいいものが浮かばないままだ。
「これだ!」
悩む私の隣で声を上げたクラピカは考えに考え抜いた結果出来上がった料理をメンチへと持っていった。