空即是色 | ナノ

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腕の中から手をゆっくり出すと、その手には一枚のトランプが掴まれていた。

「1だろ?」
「!」

言葉通り1であるAの書かれたトランプをヒソカが皆に見せると会場内は当たった、何故だ、と一気にどよめいた。(…予知能力でも何でもないじゃん)私はと言うと、どんな予知能力かと思えば数字の法則性に則ったマジックだと言うことに、しらけていた。

【い…異常…です!まさに狂気!!悪魔の手品です!自分の傷口にネタを仕込んでいましたー!!Pにもならない!試合にも一切関係なし!にも関わらずです!!ヒソカの異常性ここに極まれりー!!】



カストロはそんなヒソカに怒ったのか「左腕もそぎおとしてくれる!」と勢いよく向かった。するとヒソカは、先程と同じように今度は左腕を差し出した。

「さっきから言ってるだろ?あげるって」
「!…望み通りにしてやる!!」



【あっっっ!ああー!!】



焦りなど一切見せないヒソカにカストロはついに左腕までも奪ってしまった。それを見た実況は思わず叫んでいた。

【なんとヒソカ選手!残った左腕をも自ら献上ー!!何を考えているんだこの人はー!?】

両腕が千切られてしまったヒソカ。そんなヒソカに客席は絶句していた。

「…何考えてやがんだ…ヒソカの奴…」
『…まー、見てればわかるんじゃない?』

そんな中、私は小さく口の端を吊り上げた。




「な…に」

両腕を奪い取ったカストロだったが、信じ難い光景を目の前に繰り広げられ、目を丸くした。

「やはりダブルの方で攻撃してきたか…。もし本体で攻撃してきたらカウンターくれてやろうと思ったのに…。右で」
「!!」

ヒソカは、両腕を奪われた。はずなのに、何故か右腕がある。不思議な光景にもう何度目かはわからないざわめきが客席から沸き上がった。

【!?あれれ!?切られたはずの右腕が!?元に戻ってるー!!】




「な…!どうなってんだ…!?」

隣にいるキルアも信じられない、と言った顔でヒソカの右腕を見ていた。

『私も詳しくはわからないけど…きっとアレがヒソカの能力だよ』

両腕を差し出した時点で予想はしていたが、何とも面白い能力だ。私の興味は完全にヒソカに向けられていた。カストロはヒソカの元に戻った右腕を見ると一気に動揺を表した。そんなカストロにヒソカは不気味に笑い、ゆっくりと歩み寄る。そして、直前で立ち止まるともう一度、不気味に笑った。



「予知しよう。キミは踊り狂って死ぬ」






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