空即是色 | ナノ

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「全くです…。本当にもう…」
「ウィングさん…」

ウィングさんの言葉にゴンは謝った。だが、そう甘くはなく、ウィングさんは許す事なく、ゴンが完治するまでの2ヶ月間(本当は4ヶ月だけどねー)は試合を禁じ、念の修行も念について調べる事さえも禁じた。

「今度これを守れないようであれば君に教える事はもう何もありません。どうですか?」
「わかった!ちゃんと守るよ。約束する」
「…では左手を」

ゴンの言葉にウィングさんは左手を出すようと促し、小指に糸を巻き付けた。(これって…ふーん)私はその糸が何なのかすぐにわかったが、ゴンに教える事もなく二人のやり取りを見ていた。




「キルアくん、なまえさん。ちょっと…」
「ん?」

すると、ウィングさんに呼ばれ私とキルアは部屋の外へと向かった。




「君達の本当の目的は何なのですか?」
「『……』」

私達はウィングさんの言葉に顔を見合わせた。

「目的って言われてもなー」
『最初とかなり主旨変わったもんねー』
「ズシとあんたに会わなきゃ俺は小遣い稼ぎだけのつもりだったし」
『あ、私は今も小遣い稼ぎが目的だけどね』
「ゴンはヒソカって奴と戦う為に武者修行に来てるんだ。それだけだよ。200階クラスの連中の殆どは最上階が目的らしいけど。バトルオリンピアだっけ?」
『それは興味ないしねー』
「ああ…ゴンは…うん、わかんないけど」
『ゴンはまーヒソカと戦えればそれでいいって言ってるけど昨日の試合見てたらそうでもないみたい』
「ああ…スリルを楽しんでるみたいだったからさ」

キルアの言葉に昨日の試合を再び思い出す。確かに、沢山の独楽を避けるゴンは楽しそうだった。(ただ…)そこで、私が目にしたものは何とも意外なものだった。一つの独楽が、ゴンに襲いかかった瞬間、ゴンは無理に避ける事なく、独楽へとぶつかった。ああ、やっぱり面白い子だ。

「命さえ落としかねなかったあの状況を楽しんでいた…と?」
「ああ。俺もそゆとこないわけじゃないからわかるんだけどさ」
『敵わないって分かってても楽しみたいんだよねー。ほーんとゴンって面白い』

私達が笑ってそんな話をしているとウィングさんの顔つきが変わった。それを見た私とキルアも口の端を吊り上げて笑った。






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