空即是色 | ナノ

15



「右腕、とう骨、尺骨完全骨折、上腕骨亀裂、肋骨3ヵ所完全骨折、亀裂骨折が12ヵ所」
『全治4ヶ月だってー』
「このドアホ」
「……ゴメン」

ゴンはベッドに座り包帯を身体中に巻きながら舌を出していた。キルアはそれを見て顔を強ばらせた。(あ、怒ってる)

「オレ達に謝ってもしかたねーだろ!一体どーなってんだこの中はよ!?」
「う、あう」
「念を知らずに洗礼を受けた連中の姿はイヤって程見ただろうが!一歩間違えばお前もああなってたんだ!この程度で済んだこと自体幸運なんだぞ!」
『キルアが久しぶりに怒ってるー』
「なまえも念をオレ達より知ってるんだから止めるとか何とかしろよ!」
『いやー面白そうだったから』
「ったく。何のためメガネニイさんが教えてくれたと思ってんだか」
「うー…でもさ、大丈夫かなって思ったんだよね。何回か攻撃を受けてみて…まあ急所さえはずせば死ぬことは…」
『(ほんとタフだなー)』

ゴンが話していると部屋の戸がノックされた。キルアはそれに立ち上がるとドアへと向かった。

「!」

やってきたのはウィングさんだった。ウィングさんは無言でゴンの前へとやってくる。(あー怒ってるなー)

「あ…その、ごめんなさ」



パン!



すると、ウィングさんはゴンの頬を叩いた。

「私に謝っても仕方ないでしょう!一体何を考えてんですか!!念を知らずに洗礼を受けた人達を見たでしょう!君自身ああなっていても全くおかしくなかったんですよ!!」
「あ、それ俺が言っといた」
『にしても、まさか纏を解くなんてねー』

先程からキルアとウィングさんが怒っていたのは昨日のゴンの試合でのこと。

襲いかかる独楽に苦戦するも、ゴンは独楽の仕組みを読み解いた。ゴンを狙っているわけではない、と分かればゴンは独楽に目も振らずギドへと一直線に向かっていった。だが、そう簡単にはいかず、またしてもポイントを取られてしまう。気が付けばあと1ポイントで試合は終了してしまう。そんなゴンが考える事は私には簡単にわかってしまった。

"まだ戦っていたい"

私の興味を引き付ける最高の人材だった。そして、ゴンが考えたのは、纏を解くこと。
だが、ただ纏を解いただけではなかった。ゴン自体は気づいていないようだったが、私にははっきりと感じた。(きっと、ウィングさんも)あれは、纏をただ解いただけではなく、"絶"だということを。だが、今使う意味は全く持って無いものだった。気配を経つ技だとして、ゴンを特定に狙っているわけではない独楽には意味がない。そして、同時に念に対する防御力は無くなり、そんなゴンが先程同様に独楽に当たれば…。


『ま、その程度の怪我ですんだのが幸いだったねー』
「……」

すると、ウィングさんは今度は優しく、ゴンの肩に手を置いた。






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -