空即是色 | ナノ

10



私たちは急いで本当の念について学ぶことになった。ウイングさんに見せられたのは花瓶から花が突き出ている不思議なものだった。

「これが念です。念とは、体から溢れ出すオーラとよばれる生命エネルギーを自在に操る能力のこと!」

ウイングさんが一通り説明を終え、念の使い手が無防備の人間を攻撃した時のことを燃の時と同じように実践して見せた。ウイングさんがゆっくりと壁に手を添えると、一瞬にして壁が割れた。

「肉体は粉々に壊されます。これが念。誰もが本当は内に秘めている力。眠れるこの力を目覚めさせる方法は2つ。ゆっくり起こすか、無理矢理起こすか」



「「『……』」」

ウイングさんの言葉を聞き、私たちの選択は既に一つしかなかった。

「オレたちは0時までに纏を覚えてヒソカの念の壁を突破したいんだ!」
『じゃあ無理矢理起こすしかないね』
「そうですね」
「それなら間に合うんだな?」
「君達次第ですよ。時間内にオーラを体にとどめるコツを会得できるかどうか、そこにかかっているわけですからね。これから君達に私のオーラを送ります」

そこから少しウイングさんが長い話を始めた。どうやら200階にいるのは全員念の使い手らしい。(じゃあヒソカがいなくても二人が勝つのは無理ってことか)

「念を知らない者が上がってくると必ず洗礼をします。すなわち」
『念による攻撃、てわけだね』
「そうです。…色々ともったいつけて脅かしもしましたが君達ならこの方法で確実に目覚めるでしょう」



そしてウイングさんはゴンとキルアに上着を脱ぎ、背を向けるように促した。
ウイングさんは二人の背中に片手ずつ、オーラを漂わせながら、一気に二人に向け放出した。すると二人からは強力なオーラが現れた。そのまま"纏"へと誘導される。(さー、どれくらい時間かかるかなー)私がひっそりとワクワクしていると(元はゴンとキルアの興味だけでここに来たしね)二人は何とも速い時間でオーラを一定の大きさに留めた。

「ゆっくり目をあけて」

ウイングさんに言われるがままに二人は目を開けた。

「どんな感じですか?」
「…何かぬるい粘液の中にいるみたいだ」
「うん…重さのない服を着てるみたいだ」
「そのイメージを常に持ち続けて下さい。慣れれば寝ていても纏が使えるようになります。これから今度は敵意をもって君達に念を飛ばします」



「あれ?なまえは?」
「そうだよまだ何も…」
『ウイングさんおっちょこちょいだなー』
「…いきますよ」
『!』

ウイングさんは私たちの言葉に耳を貸さず、一気に念を飛ばす。ウイングさんのような強者からの敵意をもったオーラを出されるとなるとやはり纏をするのが一番効率的だと察知する。

「!おいお前…」
「なまえそれ…!」



『なーんだ、ウイングさんにはバレてたんだ。ずっと"隠"で隠してたのに』



纏を使った事によってゴンとキルアにバレてしまった。ウイングさんはいつも見せる優しい笑みで笑う。

「やはり、最初から念の使い手だったんですね。君達に燃を教えた時に一瞬でしたが空気が変わったのを察知しましたよ」
「じゃあさっきヒソカが言ってた「なまえ以外の君たちに」って意味って」
『あ、やっぱり聞き逃してなかった?』
「当たり前だろ!」
「なまえはもう念が使えるからって事だったんだね」
『あはは、黙っててごめんねー』
「ごめんねー、じゃねーよ!」
『…やっぱり?』






×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -