いつか言ったね。俺が帰ったら結婚しようって。ごめん、無理みたい。血だらけのあたしはふらふらと海が見える岬へと向かった。


「…ルフィ、ごめん。ルフィの故郷が…山賊に…あたし、守れなかっ」

回転のしない頭で喋り続ければ血が喉から込み上げるように溢れ出す。海へと飛び散ればまるで何も無かったように血は滲み消える。膝ももうあたしを支える力はなくその場に崩れ落ちた。



ああ、ルフィの笑った顔があたしの頭を過ぎる。愛しい無邪気な笑顔。今頃どうしているだろうか。



「…ルフィ、愛してる…だから、忘れ」



ないで。





言葉は最後まで吐き切れず、あたしは最後の力を振り絞って海へと身を投げた。どぼんっと大きな水しぶきをあげてゆっくりと沈んでいく。そういえば死ねば海で浮き上がるって誰かが言っていたような気がする。(浮かなくていい。このまま深く沈んで、誰にも見つからずにいさせて)





あなたの愛が届くように

(あなたと繋がっていられるこの海で、)