sss | ナノ


「鬼灯様、転生許可証にサインを下さい」
「却下です」

「鬼灯様、現世への視察の許可を下さい」
「却下です」

「鬼灯様、有給休暇の消化許可を下さい」
「使用目的は?」
「天国・桃源郷への観光に…」
「却下です。特に桃源郷など行っては馬鹿になります」

「鬼灯様、部署異動許可を下さい」
「却下です。ちなみにどちらを希望ですか?」
「お香様の下に就きたく、衆合地獄へ…」
「そうですか。無論、却下です」


なんだ。
なんなんだ、この鬼神は。
何をしようにも、全て否定される。
結局否定が覆される訳もないのに、何故か理由を聞いてくる意味はなんなんだ。

「一体、何の許可なら貰えるんですか!」
「許可出来る事ならば許可しますよ」
「私の言う事全て否定するじゃないですか!」
「それは貴方が許可出来ない事ばかり求めるからです」
「……(絶対嘘だ。鬼灯様に意地悪されてるんだ)」

こうなればヤケだ。
鬼灯様から一度でも許可させてやる。
とりあえず何でも良いから許可を貰うべく、何か申請出来る様なものを探し出す。

「…鬼灯様、許可を下さい」
「今度は何の許可ですか?」

半ば呆れた様な口ぶりでこちらを見遣る鬼灯様に私は、ムキになり何か何かと焦る様に思考を回転させ、突発的に思い付いた事を発した。


「ほ、鬼灯様との交際許可を下さい」
「受理します」


「…え!?」
「うるさい。何ですか」
「いや、え、え、受理するんですか!?」
「ええ」
「いやだって、何で」
「言ったでしょう。許可出来る事は許可すると」
「け、けどまさかそんな事が受理されるなんて…」

「おや、まさか、何かしら許可を貰う為に片っ端から適当な事並べるおつもりだったんですか?」
「う…」
「ならば、残念ですね。一度受理したものは二度と却下しませんよ」
「そ、そんな…ほんの冗談で…(て言うか何で、こんな願い事を受理したの…!?)」

「この私に、冗談などと戯けた事をぬかしたと?」
「……!」



触らぬ鬼神に祟りなし



「あの…死ぬほど謝りますので、やっぱりさっきのは無しに…」
「聞こえませんね。さ、買いに行きますよ」
「え、な、何を…」

「首輪でもすれば、大人しくなるでしょう。私に交際を申し込んだんですから、覚悟して下さいね」

「……!」





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -