sss | ナノ


我ながらなんて良いアイディアだ、なんて思いながらニコニコと目の前にいる神獣の白澤様と鬼神の鬼灯様に私は笑いかけた。

「…何とおっしゃいました?」

だが鬼灯様はいつものしかめっ面を更にしかめて私が放った言葉を聞き返す。

「ですから、白澤様と鬼灯様とで私を取り合って下さい」
「は?」
「だーかーらあ「ちゃんと聞こえてますよ。貴方の言動の意味の理解に苦しんでいるんです」…意味ってそのままですけど?」

「「……」」

まるで、"理解出来ない二人がおかしいのでは?"と私が首を傾げれば鬼灯様と白澤様が顔を見合す。(険悪)

「何故、好きでもない貴方をこのろくでなし色魔の白豚と取り合わなくてはいけないんですか」
「おいコラ、僕だってこんな朴念仁と同じ女性を取り合うなんて嫌だね。つか、コイツが好きになるのなんてメスゴリラ位しかいないんじギャアァ!!」

相変わらず仲の悪い二人はさておき、私は発した言葉の意味を話すべく口を開いた。

「私って、かなりおいしい立ち位置だと思いません?鬼灯様の直属の部下で女性として一番近くにいるし、仕事の都合で白澤様と会う機会も多いし。で、二人は女性に大人気。そんな二人が私を取り合うシチュエーションなんて素晴らしいじゃないですか」



「「……」」



再び二人は顔を見合わせる。
そして鬼灯様が大きくため息をついた。

「それ、一体私に何のメリットが?」
「鬼灯様にはありませんが、私にメリットがあります」
「それを聞いた私が貴方を好きになる事は一ミリもないという事を確信しました」
「えーいいじゃないですかー」
「何が一体全体良いんですか」
「ねえ、それ僕だけで良いじゃん。僕がなまえちゃんを好きでなまえちゃんも僕が好き。それが一番平和だしお互いにメリットあると思うんだけど」
「別に白澤様が好きとかじゃないし一人に言い寄られるだけじゃ面白くありません」
「か、可愛い顔して結構言うね…」

「じゃあフリでもいいです!一瞬だけでもその気分を味わわせて下さい!」

しょうがないから引き下がってやろう、とぱん!と手を合わせ二人に頭を下げる。

「嫌です」

だが、やはりと言ったところか。鬼灯様にすぐさま断られる。私は頭を下げたまま、大きく項垂れた。

「もういいです!鬼灯様のけち!鬼!」

かと思いきや、すぐさま頭を上げ鬼灯様に投げる様に言葉を放つと、今いる極楽満月から閻魔殿へと一目散に走り去っていった。






「…まあ、鬼ですけど」
「ていうか、なまえちゃんって凄い鈍くね?もう既においしい状況だってのに」
「…何がですか」
「僕がなまえちゃんを誘ってるのは現在進行形だし、お前もなまえちゃんが好きなのはわかりやすいんだから既に取り合ってる様な…ギャアアアァァ!!さっきも折った手を更に折るんじゃねえ!!」
「さて、金丹も貰った事ですし私も帰ります」
「二度と来るなあ!!」

そんな二人の発言を走り去った後の私には知る由もない。





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -