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「ね、ドラえもん」
「なに?なまえちゃん」
「そろそろキューピッドの矢出してほしいな」
「だめ」

なまえちゃんのお世話ロボットをして早一年。以前、キューピッドの矢という相手を好きにさせる道具を出してから、幾度となく冒頭の会話が繰り返されてきた。
「うー今日もだめだったか…」
「いくら言われたってだめだよ」
「なんでなのさ!」
ぷんぷんと音が出そうなほど可愛く怖くない怒った顔を横目で見ながら僕はため息をついた。

だって、僕は君が好きだから。

「あの時は仕方なく道具を出したけど、本来はちゃんと自分の力で頑張らなきゃ意味ないよ」
「だってー…」
正論を突き出したようにそう言えばなまえちゃんは頬を膨らます。(なんてね)本音を言えば、なまえちゃんが誰かと好き合って欲しくないという自分の願望だなんて、口が裂けても言えない。

(僕を好きになれば、道具なんていらないのに)
こんな気持ちも、君には言えない。



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