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「ねー王ドラさん。そろそろ休憩しても良いと思うのですが」
「まだ始めて10分しか経っていませんよ。せめてあと20分は頑張ってください」
「けち」
「けちじゃありません」

時は22世紀。このご時世、家庭教師ロボットなんてものも珍しくはない。私の家にもつい最近ロボットがやってきた。それが王ドラ。チャイナ服を身に纏い、とても行儀の良いロボット。



「あーあ。勉強なんてつまんない」
「そんな事ありませんよ。勉強は将来必ず役に立つんです。なまえさんの為になるものですよ」
「ふーん。王ドラは勉強すき?」
「はい」

最近じゃロボットも感情を持っているのが当たり前で、当然厳しくルールに忠実なロボットもいるが、どこか抜けていてお茶目なロボットもいる。王ドラは絶対に前者であろう。(それにしたってもう少し緩くてもいいのに)いつもキビキビとしており、嫌われているんじゃないかと思う程に無表情で勉強を教える王ドラを少し恨めしい気持ちで見ていると開けていた窓から入る風がそよそよと王ドラのヒゲを揺らすのが目にとまる。それが何だかとても可愛らしいもので、私はふいに触れてみたくなった。

「わ、柔らかい」
「!!!!」

気持ちに従順な私の手は王ドラのヒゲへと伸びていた。そろりと触ったそれは想像以上に柔らかく本物の動物のヒゲのようだ。きっと怒られる。そんな気持ちでちらっと王ドラを見てみると、とっても真っ赤に頬を染めていた。(あれ)

「な、何をしているんですか!?」
「えっと…ヒゲが、触ったら気持ち良さそうだったからつい…」
「つ、ついで触らないでください!」

驚いた。先程まで冷静沈着で勉強だけしか知らないような王ドラが顔を真っ赤に染めてわたわたと慌てている。(まさか)

「…もしかして、王ドラって女の子が苦手なの?」
「!に、苦手というか緊張してあがってしまうんです…」
「…いつも私と普通に話してるじゃん」
「め、目を見ずに、話すだけならまだ何とか…」

そういえばそうだ。王ドラはいつも教科書等に視線をおき、私と話す事が多い。たまに目が合っても一瞬で逸らされてしまう。(なんだ、嫌われてたりとかそういう訳ではなかったんだ)思わぬ一面に何だか厳しいだけのロボットだった印象がガラリと変わり私は頬が緩んだ。

「じゃあさ、この機会にあがり症直そうよ」
「え?」
「だって家庭教師なのにずっと私の事見ないで勉強教えるなんて無理でしょ。これから先も私じゃない女の子の家庭教師につくかも知れないし」
「そ、そうですけど…」
「それに、私ももっと王ドラの事が知りたくなったの。仲良くしようよ」
「な、仲良くって私は家庭教師ロボットでっ…」
「楽しく話せて勉強出来たらそっちの方が絶対に捗ると思うの!」

まるで言いくるめるようにそう言うと王ドラは少し黙ったかと思うと「わかりました」と小さく頷いた。そんな王ドラに私はより一層笑みを浮かべた。

「これからよろしくね!王ドラ!」



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