sss | ナノ

「しーんいちくーん!!」
「!!バーロー!大声で呼ぶな!!」

犬が尻尾を全力で振るように小学生の俺に向かってくるのは女子高生。
「だって君新一君じゃん」
「俺が工藤新一だってのは内緒なんだって!」
「ふーん」

彼女は本来の高校生である俺の幼馴染であり同級生。彼女も蘭と同じように正体を隠しコナンとして接していたが、ひょんな事であっさり正体がバレてしまい今に至る。
「そんな隠さなくてもいいじゃん」
「隠すに決まってんだろ!俺の正体がバレれば俺の周りの奴らだって黒ずくめのっ」
「わかったわかった」

事の重大さを今一理解していないのか彼女はヘラヘラと笑い俺の言葉を遮った。
「じゃあ私が新一君の正体バラさないように私のお願い聞いてよ」
「は?一体何だよ」
これでも今までずっと幼馴染として育ってきた彼女だが、まるで脅しのような言葉に俺は彼女から発される言葉に息を呑む。


「私と付き合って」

「…え?」


昔から彼女はやんちゃで、蘭とはまた違った活発な女の子だった。いつも明るくにこにこ笑っているのが彼女だと認識していたが彼女が言葉を発したと同時にとても真面目な表情を見せた。
「おい、それって…どういう…」
俺は彼女の言葉の意味を理解できず、頭の中を必死に整理する。すると、真面目だった彼女の表情はまるで嘘だったかのようにすぐににこにこと笑みを浮かべていた。
「なーんてね!」
「へ…?」
「ちょっとからかってみただけ!ていうか新一君には蘭がいるでしょ!ごめんねからかって!」
「ったく!びっくりしたじゃねーか」
冗談だとわかると俺は大きく安堵を漏らした。一瞬ではあったが彼女の真面目な表情は目に焼き付いて離れずとても胸が苦しくなるような、そんな気持ちだ。

「仕方ないから君が新一君だって事は内緒にしててあげる」
「あたりめーだろ!」
そしていつもの態度に戻った彼女に俺はいつものように彼女と接しながら家路へと向かった。



小学生探偵と女子高生のお話
(そんな俺を彼女が寂しそうな瞳で見つめていた事なんて、俺は知らない)



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -