時々、ふと思うの。
どうして私は同じ人間ではなく、ロボットを愛してしまったのだろうと。
だけど、感情は私と何も変わらない。
だからこそ彼も時々、ふと思うのだろう。
同じロボットではなく、限りのある人間を愛してしまったのだろうかと。
誰に何を言われたってそんな事はどうでもいいの。彼がいてくれれば、幸せだもの。だから、ね?私は他に何もいらないの。
「私は嫌です」
「王ドラ?」
「私は、いつかなまえさんがいなくなる日々を迎えるのは嫌です」
どうして泣いてるの。確かに、私はこのまま老いていつかは死んでしまう。だけど。
「まだ遠い話でしょ?」
「それでも…そんな日々が待ち構えてると思うと、凄く怖くて、怖くて…!」
本当に神様って意地悪なんだね。ロボットがそんな複雑な気持ちを抱いて、私を壊れそうな程の力で抱き締めるなんて。
「だから」
真っ直ぐと私を見つめる彼の瞳はとても透き通っていて、揺るがない。
「なまえさんがいなくなるのなら、私も壊れます」
「…王ドラ」
「そしたら、なまえさんと同じ人間に生まれ変われますよね、きっと」
なんて、不思議。あんなに悲しそうな顔をしていた彼がこんなに安らかな笑みを浮かべているなんて。
なんて、素敵。
「楽しみだね」
「ええ、とっても」