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久しぶりに故郷へ帰ってきたと思えば、またすぐに出掛ける準備をこなすエドの横顔を全身全霊を込めて睨んでやる。その視線が余程痛かったのか顔を引き攣らせてあたしと目を合わせた。そして乱暴に頭を撫で回したかと思えば頬に手を添え額に小さなリップ音を立てた。

「やめてよ」
「そんな寂しそうな顔すんなよ」
「だってまた暫く帰って来ないんでしょ」
「…アルを戻す為なんだ」

やめてよ。エドの言葉を聞くとあたしは口を閉ざすしかなかった。再び顔を寄せ今度は頬へとキスを落とす。小刻みにキスをする位置を変え唇へと到達するとぬるり、と舌が侵入する感触にあたしは目を閉じた。

「また必ず帰ってくるからよ」
「…絶対だからね」
「ああ」

ん、と未だに睨みながら小指を出したあたしにエドは笑いを零すと同様に小指を差し出しあたしの指に絡ませた。


(だがエドは帰ってくる事はなかった)



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