空には色が無くなった。
あたしの目に映る全て、
色が失われた。
「ねえ、ルフィ」
「エースは、死んだの?」
あたしは心さえをも失ったように
残酷にもルフィに問いかけた。
「…ああ」
けれど、ルフィはあたしよりも
大人だったみたい。
エースの炎が、消えたあの瞬間
あたしの脳内は一瞬にして色を無くした。
真っ白で、まるで線画のような世界。
残酷なのはあたしじゃない。
エースを奪った鮮明だった世界だ。
「なまえ」
ルフィだって、悲しくて
胸が張り裂けそうなはずなのに
あたしを気にかける。
やっぱり、エースの弟だ。
「この空が、
色を取り戻す日は、来るのかな?」
きっと、色を無くしたのは
あたしだけ。
けれど。
「ああ。おめーだって強くなれんだ」
エースのような、ルフィの笑顔に
いつかは、笑い返せるのだろうか。
いつか、エースを忘れて
この世界は色を取り戻すのだろうか。
(ひとつだけ、色を取り戻すとしたら
赤い炎だけでいい)